このレビューはネタバレを含みます
下方向へ強く、鈍く、永遠に我とともにあり続ける重力の、時折放つ閃光あるいは篝火あるいは火の玉。重力「と」ではない、光は重力に、このどうしようもない重みに従属する輝き。
発光する被写体が語る。語るが、語られるのはその人によって語り得ることだけ。他のことは誰からも語られない。この映画は語らない。ただ語らせ、演者と共犯となって、隙間だらけの劇を演じて映す。その隙間に語られないことがただ存在している。
発光するスクリーンを見て我々はただそれを観る人にだけなった。信仰する者と、東八幡に救われた人と同じく、ここにただ、いるだけでいい存在となることができた。フカフカのイスに深く座り込みながら、これは光だ、と思った。