タカ

マイ・ブロークン・マリコのタカのレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.7
「大丈夫に見えますよ」

何か無い日なんてないの
何をどこから直せば良いのか分からないほど
ぶっ壊れてる
毎日毎分毎秒を良い子だと思われるように努力して
辛くて苦しくても笑顔で取り繕うしかない
"私は幸せになれない"と思う方が楽なんだ…

周りの奴らの弱さを押し付けられてるだけだから、あんたは悪くない
私に何も残さず、何も言わず
本当に逝ってしまったの?
だんだんあんたの記憶が薄れていく
"面倒くさい女"と時々思っていたことも、だんだんと…
なぜ私を置いていったの
せめてせめて一緒に

どこか歪でどこか愛らしい共依存
一方的に向くのでなく、双方向に向き合う
お互い必要としてるからこそ
一緒に居て緊張せず安心できたのだろう
身体をくっつけていたあの頃から比べ
LINEでのやり取りが多くなったけど
それでもチャット並みの速さでメッセージを送っていた
だからこそぽっかり穴が空いてしまう
手紙を渡すのが好きだったマリコ
最後に送った言葉は何だったのか
知らないで良い
そこは二人だけの世界

生々しさとお伽が溶け合ったような不思議さ
マリコの置かれた境遇
残されたシイノの鬱屈
すぐそばにあるような生々しさがある
対してマキオのたび重なる登場やひったくり犯が戻ってくるのはお伽話のような非現実
リアルを描くのかファンタジーを描くのか見方が難しい
あと、マリコと話す形式の独り言は全然良いのだけど「初めて買ったドクターマーチン!」とかをなかなかの声量で独り言で喋るのがかなり違和感だった

一緒に居たいなら生きるしかない
思い出の中のあの子を大切にすること
手紙を読んで行きたがってた場所に行って
それで大丈夫
だから側からでも大丈夫に見える
食事を摂ってお風呂に入ってきちんと布団で寝る
その日常で大丈夫
内側では確実に生き続けている
タカ

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