タカ

PERFECT DAYSのタカのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.1
「何でずっと今のまま居られないんだろうね」

まどろみの中に見るモノクロ世界
目覚ましは決まって落ち葉を掃く箒の音
几帳面にルーティンをこなし
空を見上げ本日の機嫌をうかがう
カセットテープでお気に入りの洋楽が流れ
車内に漂うのは自分だけの世界
責任をもって仕事をこなし
昼食の暇に木漏れ日を愛でる
無口に柔和に
流れゆく時間をきっちりと

主人公・平山の世界へ誘われて
横で一緒に歩いて穏やかでたまにトゲがあり、そして漠然とした不安を味わう
そんな映画だと思った
自分の領域内に居る人はその世界を理解し
こちらを侵すことはないけれど
不意に出会う人、久しぶりに会う人
思いがけずペースをかき乱される
自分の世界だけで暮らすのはそれは楽だけども
変に客観視してしまう場面もある
貫く意志みたいなものがあっても揺れ動く
流動的で脆い
それが人間なんだな
それが社会的動物なんだな
そうした葛藤をそうした喜びを
そんなものを自分も味わっていくのだ

何がどうだと語れない映画だけど
一部だけ切り取って考えると
老いや病や抗えないものは確かにあって
もちろんそれ以外の要因もあって
このまま変わらない生活をしたいと思っても
現状からの変化は絶対にある
たくさんの世界があってもその一つ一つは淀みなく変わっていく
だから引っ付いたり離れたり
受容したり拒絶したり
そんなものは当たり前なのかなと思う
でもそんなことに疲弊したくないな
変化に前向きに生きたいなと
そう、そう思う
タカ

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