「どう？幸せ？」
誰かの不幸の上に、誰かの幸せが成り立つ
幸せ不幸せの概念なんて曖昧で価値尺度も絶対的なものではないのに
なぜか蔓延っている理論
「他人の不幸は蜜の味」なんてものはどこまでいっても独りよがりで他人を自分の価値観に当て嵌める愚行だと思う
比較をする時点で幸福論は破綻する
そう思う
そう思うけれども
エネルギー資源のように幸せが有限資源だとしたらどうだろうか？
そしてそれが生死を別つまでに顕在化したものであればどうだろうか？
そんなIFの世界を味わわせられ極限まで選択を迫られる映画
そんな世界は確かにホラーだ
老人が棒立ちで虚空を見つめる、奇声を発する、突如として微動だにしない
それだけで立派な恐怖演出
前半は『ヴィジット』の雰囲気に良く似ていると思う
明らかに異常が見られる老夫婦
日常から少しはみ出したような恐怖がある
閉鎖的コミュニティによる洗礼とも思えるけど、全体像が明らかになると幸福論について主眼が置かれたしっかりテーマの映画だと分かる
でも、そうなると異常行動の数々は何なのだろうなぁという気もする
無理矢理に理由づけはできそうだけども明確じゃない
そのあたりが気持ち悪いと思う人もいるだろうけど、個人的には好きじゃないかな
皆が幸せな世界を追求するのは理想論だろうか
「皆に幸あれ」のタイトルが最初と最後にバンっと出るが
意味合いが変化するのが面白い
誰かの自己犠牲を噛み締めながらの幸せ
それって不幸せなんじゃないかと思ったりもする
幸せって何なのだろうか
