以前に、映画の中でのベストカップルは、「黄昏」と「ラビング」の中の夫婦だと述べたが、それに本作のヨウテイとクイインが加わることになった。
貧しく搾取される農民の実態は、現代中国のみならず、世界の実態な気がする。優しく誠実なものほど利用され、弱きものは貶められる。程度の多寡はあれ、我々の日常でも違った形で起こっていることだと思う。
形ばかりの共産主義の中国は、実態は少数の権力者が国を独裁するかつての封建制度と変わりがない。民衆の一部を懐柔するために、金儲けの算段を採り入れ認可するようになった途端、格差社会が激しくなった。
それでも、日々の生活に喜びを見出し、額に汗して、何気ない事に笑顔する人たちがいる。これに心打たれない人が果たしているのだろうか?
そんな善良な人たちの小さな平和すら、いとも簡単に壊されてしまう。そういう世の中に覚える憤りを心に刻んでおきたい。
本当の豊かさとはなんなのだろうか。本当の幸せとはなんなのだろうか。独り黙然と沈思する。