開明獣

エクス・マキナの開明獣のレビュー・感想・評価

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
5.0
アレックス・ガーランドが好っき❤️(スキウサギ調)

20代で書いたデビュー小説、「ザ・ビーチ」が欧米で空前のベストセラーとなった、若き天才ガーランド。ディストピア小説の一種として高く評価されたその「ザ・ビーチ」は、レオナルド・デカケツプリオ主演で映画化された。その時の監督が、「スラムドッグ・ミリオネア」でアカデミー賞を獲った、現代の名匠、ダニー・ボイル監督🎬

その時の縁で、ガーランドは、ボイル作品の脚本を手がけることになり、それが映画制作参入のきっかけだった。ボイル作品以外にも、ノーベル賞作家、カズオ・イシグロの名作、「わたしを離さないで」の映画版の脚本を手がけている📖

そして満を持してメガホン📣を取ったのが、このデビュー作。ポストヒューマンの一つの可能性として、自律型人工知能搭載の開発中アンドロイドと、人類の関わりを描く🤖

予め存在する人間よりも高次な存在ならば(例えば高度な文明を持つ異星人とか)、人類がもし彼らにとって害と看做せば一瞬で滅ぼすだろうし、そうでなければ気にもかけぬだろう。よく出す例だが、人類が道を歩いている蟻を気にかけぬように。たが、人類自らが、自分たちよりも高度な能力の存在を作ってしまったら果たしてどうなるのか?

ガーランド作品の特徴は虚無感にあると思う。それはその後の2作でも顕著だし、デビュー小説からしてそうだった。

人類の未来に警鐘を鳴らしているというより、我々が作ろうとしている選択肢から考えうる帰結を冷徹に受け止めるしか無いし、人類は進歩と称して、技術開発を止めることはないことに対する、ある種の諦観を持っている。

我らより高次の存在は、我らに憐憫の情など持たぬ。滅ぼすか、無視するか。パラダイスなど存在しないとする、透徹したガーランドの視線に惹かれてしまうことこそ、自分が人類であることの証なのかもしれない。
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