妊娠するわけでも出産するわけでも無い男が女の身体どころか命の進退まで決めるの醜悪にも程がある。
その場にいるのに無視されて、「夫の奥さん」としての存在、子と夫を世話する役として扱われていた女が、自分で選んで、自分と同じ苦痛を抱える女のため、自分のできることをしたいと危ない橋を渡り女を救う。選ばれた意義を見出し顔が輝いていく。
救うと同時に救われている。
音楽がすごくよかった。
重い内容だけど重たすぎずしかし軽薄ではない物語にしていて、自分がティーンの頃こういう映画を大きなシネコンでやっていた記憶はなくて、それがなんか本当に時代は変わったのだなと思った。重箱つつくような感想は浮かんだりもしたけどそんなのは瑣末なことで、この映画がミニシアターじゃなく、シネコンでやっていること、それだけでなんだかとっても嬉しいことだ。
勝ち取ったロー対ウェイド判決が覆されてしまったことは本当に情けなくなるが、女は絶対に負けないってわかっているから、絶望したりはしない。
