トランス女性のデュスティンが、いつもの仲間たちとクラブで夜を明かして朝帰りするまでの時間を切り取った短編。浮気な彼氏との関係は行き詰まり、友達と過ごしていても疎外感を抱かされ…とただでさえ狭いコミュニティの中で八方塞がりになったかに思われたデュスティンが、一人でも確かな光明を見つけるエンディングに開放感があってとても良かった。「マダムって呼んでもらえたら、その日はいい一日だなって思える」。「夜の世界」だけがトランスピープルの、クィアピープルの居場所ではないのだ、というメッセージなのかなと理解した。オレンジを基調にしたデュスティンのヘアメイクをはじめ、ファッションもとても素敵。
それにしても『BPM』といい『ソヴァージュ』といい、フェリックス・マリトーについていけば間違いない感ある。