獅子舞のアクロバットな動きはさておき、背景美術が農村の場面でも都会の場面でもあまりにリアルで、これなら実写で見たかったと思うほどだったが（実際の風景を知らないので、アニメーションならではの表現もあったのかもしれないとも思うけど）、そのリアルさが突き抜けていて、映画を観ている間ちょっと中国に行ってきたようなVR的な感覚さえあり、数年前に行った上海旅行の、今の今まで忘れていた細部を急に思い出したりもした。すごい体験。
試合のシーンが本当に熱くて、ヒーローマスクとしての獅子頭のかっこよさに文字通り震えたけれど、そこに至るまではなんで獅子舞なのか？とか、そんなにすぐ上達するものなのか？とか、文化についての知識が足りなくて疑問に思うところが多く、いまいち気持ちがついていかなかったのと、映画全体としても、前半のギャグ漫画パートと最新中国映画っぽいシリアスな後半の繋ぎがあまりうまくいっていない気がして、「ずっとギャグなのに気づいたら謎に感動している」チャウ・シンチー映画のマジックはそうそう作り出せるものではないのだな…と思った（別にそこを目指しているわけではないと思うが…）。あとチャウ・シンチー映画にもよくある外見ギャグ、体形ギャグはアニメにすると逆に（？）居心地悪く感じられるらしい（私は）という発見もあった。ああいうのは生身の俳優の魅力や愛嬌に支えられていてこそ笑えるんだなというか…。（もちろんチャウ・シンチー映画でも笑えない時はあるけれども）
いろいろ書いたけど、とにかく何かすごいパワーのある映画だということは間違いないと思います。早くまた中国に遊びに行きたい！！
