自己決定と言うなの深層的に選択させられるのではなく。
正直な話、松竹系の新宿ピカデリーがメイン館で『主演 倍賞千恵子』と見たときは何もかすりもしなかった。だけど、トレーラーを見て一気に興味が湧いた。
政府から暗に邪魔者と扱われた75歳以上。一人寂しく職もなく、話し声はテレビやラジオから聞こえてくるが、話し相手のいない人々。人を求めようにも年齢で切り捨てられる。
結果的に3人の高齢者が向かう行方は孤独と希望の間を彷徨う中で、支える若者が必要と改めさせてくる。
その若者として登場する河合優実さんの存在感は登場してから倍賞千恵子さん含め誰もを食い尽くす。あれはたまげた。ミチと電話をしている光景は凛とした立場で会話することを失った姿である。
一方、磯村勇斗さんは市役所で凛とPLAN75の最前線にいるものの、優しさが滲み出してくる。
この若者たちはこれからの希望。
この作品は日本単独の製作ではなく、フランスのCNCを始め多くの国の参加によって作られた。冒頭のように"かすりもしなかった"と感じた印象や、日本単独の制作にならなかった(そもそも世に出なかっただろう)理由は作中のPLAN75を推し進めようとする思惑のようにも感じてしまう。
この作品に対して何を考えるまでもなく、まずは身近な親族と会いたくなる作品だった。