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PLAN 75のKtsuneのネタバレレビュー・内容・結末

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

超高齢化社会となり、若い世代の負担軽減のため、
75歳以上の高齢者に生死の権利を保障し、
それを支援する制度、PLAN75。

PLAN75に翻弄される高齢者、
市役所職員、コールセンタースタッフ、
PLAN75関連施設に勤めるフィリピン人、
その姿が代わる代わる描写されていく。

近い将来、あり得そうな世界。
この国を支えた世代を切捨て、
安楽死させ、モノのように火葬され、
所持品はゴミとして廃棄される光景は、
国が人を殺すことを容認する末恐ろしい社会。

それ以外も貧困、孤独死といった
今、この国が置かれている課題も
映像としてクローズアップされているため、
あり得そうな世界観で妙に納得させられる。

PLAN75を受け入れつつも、
実際に関わる若い世代の苦悩、
つまり、人を簡単に消し去ること、
この制度に直面しやっと当事者意識を持つ。

命の尊厳。システム化されてはならぬ。
それは如実に感じることができるテーマだ。

そんなテーマにあって、
後半のPLAN 75関連施設での脱走、
死体を運び出す件は、あまりにも唐突であり、
その施設の抜けありまくりな点は、
都合が良過ぎて拍子抜け。残念過ぎる。

倍賞千恵子さんの存在感はさすが。
磯村勇斗さんの苦悩する姿、
河合優実さんの声で魅せる芝居も素晴らしい。
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