社会のダストダス

チャチャ・リアル・スムースの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

4.0
AppleTVオリジナル作品で、サンダンス映画祭で観客賞という『CODA』みたいな流れを踏んでる作品。こちらはちゃんと日本でも本国と同じタイミングで配信される中、『CODA』はAmazonプライムビデオでの配信!?日本のアップルの人たちそれでいいのか。

大学を卒業した“私”がすることないときに、年上の“彼女”と出会って…と、今劇場で公開中の『リコリス・ピザ』と『わたしは最悪。』を足して割ったような話。進むべき道が定まらず悶々とした日々を送るアンドリュー(クーパー・レイフ)が、弟の付き添いで行ったパーティーで出会ったドミノ(ダコタ・ジョンソン)とその10代の娘と知り合う。

監督・脚本・製作・主演はクーパー・レイフ。役柄同様20代半ばという若さ。大学を卒業した後進むべき道が見つからず…というストーリーはこのところよく見る設定。私自身もそれに近しい経験をしているからか、無意識にそういうテーマの作品に吸い寄せられているのかもしれない。主演の人は初見だったけど、脇を固めるキャストはダコタ・ジョンソンを筆頭に、レスリー・マン、オデイア・ラッシュなど観たことのある人がチラホラ。

かつてはエッチな映画で鳴らしたダコタ・ジョンソンもここ数年はヒューマンドラマの佳作を引き当てることが増えてきた印象。しかし段々と気付いてきた、声もとんでもなくエッチであるということに!普通に喋っているだけで色気がダダ洩れ、独身フリーター自分探し中の22歳♂には精神衛生上良くないに決まっている美魔女役。10代の娘が居る設定だけど姉妹に見える。

最近の青春ドラマの流行なのか、この手の映画にありがちな嫌われ役や悪者が置かれていない場合が多い気がする。強いて言うなら母親の新しい彼氏に嫌味を言ってしまったり、傷心のときに近付いてきた弟にそっけない態度をとってしまうアンドリューがそれに当てはまる、大抵の場合は自分が勘違いしていただけで回りはみんな良い人だった—ってなるパターン。『レディ・バード』や『ブックスマート』など女性が主役(監督)の作品で多かったので若い男性監督(兼主演)では珍しい、私が他に知らないだけかもしれないけど。

日本ではネトフリやアマプラと比較するとまだまだ地味な印象の拭えないAppleTV+。はっきり言って若い人向きや万人ウケする映画とは言えないので、本作が入会してまで観る価値のある作品かと言われれば、そこまで自信を持ってお勧めは出来ないけど、すでに加入している人なら元を取るために観といて損はないかな。

よっしゃ!映画を観るぞーってノリの時に観ると退屈かもしれないので、はぁ…映画でも観るかぁ、って時に観るのが良い作品だと思われます。私は後者のテンションのときが多いので満足する映画でした。