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オーメン:ザ・ファーストの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.2
666は悪魔の数字

で、お馴染みの『オーメン』の前日譚。オリジナルのほうは結構前に鑑賞済みだけど、やや記憶が曖昧な部分もあるので、本作とのつながりと確かめるためにも、そのうち再鑑賞したいところ。

『オーメン』と来れば、同時期のホラー『サスペリア』や『エクソシスト』も思い浮かぶ。いずれも40年以上前の作品だけど、現代の映画に慣れていてもチープさを感じずに普通に怖がれるのは『オーメン』じゃないかと思う。

6月6日午前6時、“悪魔の子”が誕生する。ローマにある教会の孤児院へ修道女としてやって来た、アメリカ人女性のマーガレット(ネル・タイガー・フリー)。故郷で問題を抱えていた彼女はこの地で新たな人生を始めようとしたが、自身の周囲で不可解な変死事件が連続するようになる。

『オーメン』(1976)の前日譚にあたり、悪魔の子ダミアンくんが誕生するまでが描かれる話。一応、ダミアンくんがヤバい子だという認識があるといいかもしれないけど、本作は彼が生まれる前なのでシリーズ初見の人でも普通のホラー映画として問題ないレベル。1作目と繋がらない部分もあるような気がするので、もしかしてこの後もオリジナル展開の実質リブートなのかもしれない。

時々ショッキングなシーンを交えつつも、基本的には何かが起こりそうな不気味な雰囲気。マーガレットを通して感じる違和感と怪奇のあいだのような空気が何とも居心地が悪い。

AppleTVの『サーヴァント ターナー家の子守』のネル・タイガー・フリーが主演。今回はほぼ出ずっぱりで2時間を引っ張ったネルちゃんの健闘に大拍手、素晴らしい!ホラーとの親和性が高いのは最早疑いようがないけど、次は平和な作品でもお目にかかりたい。

脇を固めるキャストが意外にも豪華で、ローマの教会の枢機卿にビル・ナイ。多少ネタバレだが、ビル・ナイだから、ただの清純潔白な聖職者ではナイなと思ったが、期待通りそりゃナイだろうと言いたくなる役どころ。しかも二つあるうちのひとつをいらナイと言う。

オリジナルの『オーメン』にも出てくるブレナン神父役にラルフ・アイネソン、過去の出演作も『ウィッチ』や『ヴァチカンのエクソシスト』など作品選びが悪魔に憑りつかれているとしか思えない。

冒頭で懺悔しに来る神父様がチャールズ・ダンス。満面の笑みからのタイトルが出るところが趣味が悪くて好き。

総じてとても良かったのだが些細な不満点もアリ。日本公開版だけなのか本国版がどうなっているのかは分からないが、中盤のとあるシーンで画面を覆いつくすほどの巨大なモザイクが掛かり、モザイクの中から手がニョキーと出てくるという場面があり、本来なら不気味なシーンであるはずが、なんだか面白いことになってしまっていた。

オリジナルの『オーメン』につながるように調整しながら、ダミアンくんが生まれた背景や目的などが深掘りされていて、前日譚としての仕事を果たしているのと同時に、本作の登場人物を交えたその後の展開も期待させるような出来だった。あとは何と言ってもネルちゃんの可愛さね。