このレビューはネタバレを含みます
4時間にわたる特殊メイクとファットスーツでチャーリーを演じたブレンダンフライザー、今年のアカデミー賞で主演男優賞も獲得したのは納得。どんな特殊メイクを施しても、全身から溢れ出る悲壮感や極限の状態で生きながらえる様子、過食症のクレイジーさは表現できないもんね、すごかった!しかもチャーリーの部屋の中での出来事なのに全然見れちゃう不思議。彼の演技力があったからこそよね。
彼が大切にしていたエッセイは、小説「白鯨」の感想について正直に書いた娘エリーのエッセイだった。冒頭から出てくるこのエッセイの文章の意味が最初はよく分からなかったが、全てを見終えてわかった。
鯨を殺そうとする船長はエリー自身、鯨はチャーリーなのだ。エリーは8歳の時に父親に見捨てられたことを心底恨んでいた、でも自分自身も父親を恨んでもしょうがないと分かっていた。そんなとき、白鯨の小説を読み船長と鯨の関係性が自分と父の状況と重なり、小説を読んで少し救われた(許したいと思えた?)気持ちになった。
チャーリーからしたら、離れざるを得なかった大切な娘が自分のことを忘れないでいてくれているというただそれだけで嬉しかったのだろう。
大人になってもう一度見直したいな。正直さ、人との繋がり、自己愛、生きること、色々なことを考えさせられる良作でした。