このレビューはネタバレを含みます
宮﨑駿さんの自伝的作品と言われていた今作は、主人公や家族の設定は比較的近しい部分はあれど、そのほかの部分は空想的な世界観、おとぎ話のような展開で進んでいった。
駿さんの生い立ちや性格、歴代作品、鈴木さん、高畑さんの人物像が理解できていると、御伽話の中に描かれる様々なエッセンスが何を比喩しているか理解がしやすかったんだろうなあ。私はジブリの作品は結構観てきた方だったけど人物像までは詳しくなかったので正直分からず…。
ただ眞人や大叔父様、ヒミ、キリコなど様々な登場人物が駿さんや吾郎さんと投影されていて、アオキジは鈴木さんや高畑さんを投影していたことは理解できた。
作風の裏テーマとしては映画業界で生き抜くことの厳しさと喜び、自分のやりたいことを信じて突き進むことで新しい世界を作って欲しいという未来ある後継者たちへのエール、ではないか。
たくさんの嘘や汚さ、弱肉強食の映画業界の中で生きてきた駿さんは、多くの若手を育ててきて旅立ちを見送ってきた（ワラワラ）けど、厳しい世界の中で潰されていったこと、厳しい世界の中で夢も抱けずに決められたことしかできなくなったスタッフがたくさんいる（インコ）こと、不安定な世界の中でもジブリという秩序を守りきれたのは絶妙なバランスが保てたからできた（積み木）こと、後継者を育てられずにスタジオジブリという世界をどうすべきか迷ってきたこと（大叔父）などが描かれたのちに、最終的に厳しい世界であることを受け入れつつも、スタジオジブリという帝国が崩壊したとしても新しい世代が自由に羽ばたき、夢を叶えてほしいというメッセージで締めくくられた。（と私は解釈している！）
もう一度みたらまた感じることも変わってくるかもなあ。
その他、米津さんの曲がすごく沁みたこと、菅田さんのアオキジがうますぎたこと、キムタクさんはやはりキムタク感が強いことが感想。
