息をするのもキツそうなくらい巨大な脂肪を身につけた男は、いつもと同じようにソファーに座り過ごしていた。
彼がその姿になった経緯は、娘の登場により明らかになっていく。
この作品をみて一言でまとめると
“正直さ”である。
彼が苦しそうなのは、脂肪の塊による圧迫ではなく
恋に走ったことを引き換えに、娘や妻を捨てたその罪悪感からなるモノだったのかもしれない。
だが、彼はそうするしかなかった、、
それはダメなコトとはわかっている。
愛を失ったわけじゃなかったけれど、
でもやっぱりそうするしかなかった。
正直とは時に残酷だ。
だけど、誰も逃れるコトのできない
決して神も救えないシロモノなのだろう。
彼がグレた娘にこれほど固執して、人生の喜びについて諭す理由
彼の生きる“正直”な理由は
もはや愛する娘への想いしかなかったからだろう。
だからなんとてしも、父は娘へ想いを伝えたいのだろう。心から愛している、愛を持って生きてほしいという正直な気持ちを。
父は娘を愛していた、、愛したかった
それと同じくらい
娘は父に愛してもらいたかった、、愛していたのだろう。
そして、最後の旅立ち
どんな神にもできない“喜び”があったに違いない。
それはおぞましいとさえ思う彼の脂肪に塗れた身体も
どんなモノより美しくみえた。
心の底にある“正直”さこそ
自分の生きるヒントとなるのだろう。
正直という道に沿って人生を進めた結果、彼のような見た目を手に入れたとしても
構わない
むしろ、本望だと思う。
たとえ、周りから不幸で憐れだと思われても構わない
自分の心内が見えるのは自分だけ
自分を救えるのも自分だけ
“正直”に従う人生にこそ幸せがあると思ったから。
元奥さんの演技は空気が変わるほど違和感のあるモノであまり好きじゃなかった。