チャーリーは、夜間学校の教え子であった男性アランと恋に落ち、妻メアリーと8歳の娘エリーを捨てた。その後、アランはキリスト教系の新興宗教「ニューライフ」に入信し、やがて心を病み、死んだ。それ以来、チャーリーは家に籠もってぶくぶくと太り、一人では歩行もままならない巨漢に成り果て、現在は大学のオンライン講座でエッセイの書き方を教えている。自らの醜い姿を見せられないチャーリーは、一人だけカメラをオフにして。
或る日チャーリーが発作に見舞われて苦しんでいると、たまたまニューライフの勧誘に青年トーマスが現われる。男同士がいちゃついている動画が再生されているのを見て警戒しつつも、トーマスはチャーリーを手助け。彼が哀願するので、ある原稿を音読する。それは小説『白鯨』に関して書かれたと思われるエッセイ。しばらくすると容態が落ち着いたチャーリーだが、何が起こるか分からないので、トーマスに付き添ってもらう。すると、トーマスの友人(アランの妹)で看護師のリズがやって来て、チャーリーの世話を交替。トーマスがニューライフの信者だと聞くと、露骨に嫌悪を示して、追い出す。チャーリーにはうっ血性心不全の気があり、病院に行くのが望ましいが、チャーリーは断固拒否。フライドチキンを頬張りながら、学生のエッセイを採点する。
8年ぶりに娘のエリーと再会。自分をコントロールできなくなり、惨めな姿となった父に、娘は反発的。彼女は友人の悪口をネットに書き込み、停学中。卒業も怪しいという。元妻が娘の情報をろくにくれないので、あれこれと聞きたいが、エリーが反抗するので、チャーリーは全財産(12万ドル)を譲り、なおかつエッセイの執筆を手伝うという条件で、彼女を引き止める。エリーはしぶしぶ条件を飲むと、チャーリーに、立ち上がって歩いてみろと挑発する。チャーリーはどうにかそれに応じる。リズは、チャーリーが娘と再会し、交流を始めたことに否定的。SNSを見ると、エリーにはどうも友達が居ないらしく、死んだ犬の画像などをアップしている。
チャーリーは講義で学生に、オリジナルの主張に基づかないエッセイに意味は無い、自らが書いたことに真実性を真摯に問い、推敲を重ねよとレクチャーする。
父が自分のエッセイにつけた講評や添削に無関心のエリー。チャーリーの言うことは教師と同じだと悪態までつく。しかしチャーリーは、娘のなかからそうして湧き出てくるネガティヴな感情すら、彼女の正直な気持としてすくい取り、書くことに結びつけようとする。エリーが、チャーリーの太った理由を尋ねると、彼はパートナーのことを遠回しに語る。エリーは、アランが家に来たときのことを覚えているらしい。母がいない日、父が教え子のアランを家に呼び、いいステーキを焼き、エリーが寝た後も二人で話していたことを。チャーリーは娘に、ある詩について考え、本心を書くよう宿題を出す。
トーマスがやって来て、ニューライフのパンフレットを手渡し、解説を始めるが、チャーリーはすでにニューライフや聖書のことを知り尽くしている。そして、終末論や救済について興味はないとことわる。さらにチャーリーは、自分がおぞましいかとトーマスに問う。青年は否定するが、しかし彼を救いたいのだと言って引き下がらない。そこへリズがやってくる。彼女は、兄アランが、父の決めたニューライフ信者との結婚を拒み、父と教会から追放され、心を蝕まれたのだと語り、チャーリーは救済を必要としないのだと言って、トーマスを帰す。
娘エリーが書いて来た文章は、「みんな大嫌い」というフレーズを含む数行の拙いものだが、チャーリーはそこに詩的なリズム(各行の語数が調っている)を見出し、喜びさえする。なぜ自分を捨てたのかということを持ち出し、気が立っているエリーに、世界に怒りを向ける必要は無いと宥める。
チャーリーが寝ているとき、やって来たトーマスと二人きりになったエリーは、彼の欺瞞を見抜いたのか、彼を脅して大麻を吸わせ、その姿の画像と録音テープを彼の父と教会に送りつける。青年は、実は大麻吸引でとっくに父と教会から追放され、金を盗んで暮らしている身だと明かす。
元妻メアリーがやってくる。皮肉屋の彼女からすると、あいかわらずすべてに前向きなチャーリーがいらつくらしい。とはいえ、それでバランスが取れていたとも言え、思い出話に花が咲きかけるが、笑うとチャーリーが咳き込み、中断される。子育てに行き詰まっているメアリーは、悪い母だと言われるのを恐れ、チャーリーに連絡をしなかったらしく、いまではエリーが邪悪だとさえ断言する。チャーリーは、エリーに書く才能があると擁護。喘息がひどいチャーリーの肺の音を聞かせろといって、メアリーが元夫の胸に耳を押し当て、じっと聞いている。再び静かに思い出話がはじまり、愉快な記憶がよみがえると二人は笑うが、そのたびにチャーリーの肺はひどい音を出す。死の予感。チャーリーは、自分が死んでもエリーを見捨てないと断言してくれとメアリーに迫るが、自分は娘を捨てたではないかと反論。人生で一つ正しい事をしたと信じたいのだと哀願するチャーリーを置いて、メアリーは去ってしまう。
いつもピザを配達するダンが、玄関先に置かれた代金と引き替えに商品を置いて去る。彼がいなくなったのを窓越しに確認して、チャーリーはピザを取りに出るが、少し離れたところで待ち伏せしていたダンは、チャーリーのおそろしい姿を初めて見て唖然としている。チャーリーはやけ食いを始め、遠隔の最終授業では、思いのままをとにかく書けと投げやりな課題を出す。ここへトーマスが現われ、自分が金を盗んだ悪人で、教団員だというのは嘘だったが、エリーの告発が功を奏し、父や教会から赦しのメッセージが届いたと感謝を伝える。チャーリーは、娘が人を救ったということを喜ぶ。トーマスは、アランが使っていた聖書を持ち出し、霊によって肉の仕業を断つべしという一節を引き、チャーリーの改心を促して救おうとする。しかし、自分への愛を選んだがゆえに、教義との矛盾に悩み、死んだアランを思うと、神を信じる気にもなれない。チャーリーは、トーマスに詰め寄り、自分がおぞましいかと問い詰め、おぞましいと認めさせる。
最後の授業で退任を告げたチャーリーは、正直に書かれたいくつかのエッセイを紹介した後、自分の醜い姿を公開し、PCを投げ捨てる。そこへリズがやって来る。アランに続き、再び近しい人を看取ることになる苦しみ。人は誰かを救うことなどできないと、チャーリーの悔いをなだめるリズだが、チャーリーは、エリーがトーマスを救ったと晴れやかに断言する。そして、アランは救おうとした、人は誰かを気にせずにはいられない、人は素晴らしいと、朦朧とした意識の中で語り出す。エリーがやって来て、二人きりで話したいというので、リズが席を外す。エリーは、提出したエッセイが不可だった激怒している。チャーリーが、そのエッセイを読んでみろと促す。父に渡され、読みもせず提出していたエリーは、そのエッセイをいまさらながら読み、自分が8年生のときに書いたものだと悟る。4年前、メアリーが娘の近況代わりに送ってよこした、『白鯨』に関するエッセイ。チャーリーは、自分が彼女を捨てたことを詫び、そしてエリーは美しい、エッセイは彼女自身、最高の傑作、完璧、そして彼女は幸せになれると告げる。救急車を呼んで立ち去ろうとするエリーに、エッセイをもう一度読み上げてくれと哀願。エリーが葛藤の末、読みはじめると、チャーリーは重い体を持ち上げて、ゆっくりとエリーに歩み寄り、ただ大きくて哀れで、海の男がそれを殺めることだけに一生をかけたあの白鯨に自分を重ねながら、娘の耳を傾ける。そして最後の文言を読み終えたとき、救済の光が差し、幼い娘と過ごした浜辺での光景が一瞬蘇り、巨体が天に引き上げられる。