売れないシナリオライターのゴウタは、妻チカの体に触れさせてもらえず、悶々とした生活を送っている。
或る日、シナリオの新企画を提案されたゴウタは、四国への取材旅行をいっそのこと家族連れで敢行することに。妻は職場のシフトを調整し、車の運転手も引き受けたものの、苦しい家計と夫の甲斐性無しに、終始苛々しっぱなし。夫が触れる余地はない。ところが、久々に会った既婚者の友人ユミに大学生の彼氏がいて、激しいセックスを満喫していると聞いたチカ。その会話を盗み聞いたゴウタは、チカのなかで忘れかけていた欲望が再燃したに違いないと見て取り、巧みに話を誘導し、旅先のホテルで久々の営みを遂げる。悪態をつきつつも、満たされた様子のチカは上機嫌で、旅の最後を飾るすし屋での食事では、夫の才能を認めて成功を信じるような激励の言葉を口にする。ところが、そこでゴウタに電話が入り、映画化されるはずだった渾身の脚本がボツになってと告げられる。それを聞いたチカは早々に会計を済ませ、路上で泣き崩れ、それを見た娘も泣き、ゴウタまで号泣の輪に加わる始末。
いつもの自宅に戻り、だらしなく眠ってるチカ。しかし彼女が部屋着として履いているのは、かつてゴウタの成功を祈って現担ぎに妻が買った、幸運の赤パン。そのときの彼女の支えを思い出したゴウタは、妻の尻に語りかけるように、「愛してるよ」と告げるが、妻からは放屁の返事。それでも、以降、ゴウタが必死で書いた手書き原稿を器用な妻がパソコンで書き起こすというかつての分業が復活し、相変わらず口は悪いが、夫婦の絆は確かめられた。
水川あさみさんうまいな。