Qちゃん

カリガリ博士のQちゃんのレビュー・感想・評価

カリガリ博士(1920年製作の映画)
3.7
一人の男が語り出す、カリガリ博士と彼の操る夢遊病者チェザーレの恐怖。

いやあ、舐めてました。
普通に面白かった!映画史初期の作品侮れなかった。

後世の作品に強く影響与えたというのがよく分かるインパクト。私が観てまず思い出したのは、夢野久作のドグラマグラ。設定とかストーリーラインで相当影響受けてる。あれ、読破に1年以上かかったな。。(遠い目)

元々美術が前衛的で素晴らしいってのは知ってたんだけど、歪み捻じれた異様な舞台美術のみならず、登場人物全員が幽霊のような不気味なメイク、不思議な空間を醸し出す大げさすぎるアクション、不安感を煽る不思議な陰影とカメラの切り替え方、全部が不穏な内容にぴったりハマっててビックリした。

舞台美術の歪み、私正直、この時代のカメラのレンズが狭角すぎて、奥行き出すためにわざとあんな背景や大道具にしてるんだと思ってた。ほんとすんません。

なにより脚本に驚いた。この時分に既にこういうオチあったのか!
どうやら当初は、こちらが想像した通りの結末になる脚本だったらしいが、それを今の形に改稿したのが、誰あろうあのフリッツラング。メトロポリスの。ノンクレだけど。それによって元の脚本家たちとめっちゃ禍根残した模様。でも絶対今の結末の方がいいしな!

そして気づく。なるほど、美術も演出も何もかも、ドイツ表現主義的な伏線だったのかと。奥深いな!
Qちゃん

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