竜平

MEN 同じ顔の男たちの竜平のレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.5
とある理由から田舎街の豪華なカントリーハウスにて2週間の休暇を過ごそうという女性、そこで巻き起こる未曾有の体験を描いていく。ホラー及びスリラー映画。

この「とある理由」というのはわりとすぐに判明していくから敢えて書かないけども、それに関連する回想シーンを時折挟みながら物語が進行していく。監督・脚本が『エクス・マキナ』『アナイアレイション -全滅領域-』などのアレックス・ガーランド。後を引くというか、見終わった後に必ず何かしらの、いやちょい嫌な方向の「余韻」を残す作風であるのが印象的。で今作もまさにそんな感じ。主演はジェシー・バックリー、ちょい前に見た『ロスト・ドーター』でも良き演技をしていて、なんだか注目の女優、ってのは個人的な話。代わる代わる登場してくる「同じ顔の男たち」を演じるロリー・キニア、どこかで見たなと思ってたらダニエル・クレイグ版『007』でMの補佐的な男タナーを演じてた人だ、あっちからは想像もできない今作の怪演よ。そんなこんなで前半から描写に出来事にとにかくずっと不穏、不気味。で徐々にエグめの方向へ。生々しいのもしばしば。リンゴやら声の反響するトンネルやら印象的なアイテムがいくつも出てきつつ、邦題にもある「同じ顔の男たち」がいったいなんなのか、何を意味するのか、いろいろ考えつつとりあえず飽きずには見れてしまうはず。

正直なんだか全然わかんないんだけど、わからないながらもとにかくずっと怖い。で、意味ありげなシーンというのがめちゃくちゃたくさんあって、ここらへんは察せないものが多くて誰かの考察とか頼らないとまーー理解できないと思う。『LAMB/ラム』とかと同じ現象。そんで終盤はマジキモ展開、まるで悪夢。いやキモすぎる。ただラストまで見て、原題の『MEN』と照らし合わせることで感じ取れるテーマ、皮肉めいたメッセージというもの。今作に関しては邦題がじつは本質を邪魔しちゃってる気がするなーなんて。まぁ、何度も言うけどわからんもんはわからんし、こーゆー邦題をくっ付けとかないともっととっつき難い映画になってしまってただろうね、ってゆー。

『アナイアレイション』に続き今回もまたアレックス・ガーランドにしっかりトラウマを植え付けられた俺でしたとさチャンチャン。でも怖いもの見たさでやっぱり見てしまうんだよなー。
竜平

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