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MEN 同じ顔の男たちのこたつムービーのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
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A24っぽいなーと観てて最後ロゴどん。
もーなんか奴らのやり口わかってきたなー。
チョせぇなぁ、もう・・。さて本題いこう。
【噛みきれん作品ゆえ長文注意報】


まずは独創的である程度面白い。そこは認める。
けど「もうひと超えはないな」と出た。
正直「作劇」という面ですごく下手だと率直に思う。が、コメディとして大いにニヤついた、というのがオレの評価だ。

まずこの映画、いわゆる「有害な男らしさ」という世界的ムーブメントを担保にした解説で「即安心」しちゃいけない作品だと思うんだけどね。この映画自体「わけわからん」からそこで納得したいってのもわかるが、ハーパー(主人公)にも注意深く「悪意」を残してるよ、この映画。その辺、安心派の皆さんOK? とは思う。

でね? もしその線だとしてもだ、その線「男性批判」を抜いた場合、これ、A24ブランドしょってなかったら破綻したC級ホラーで、それ級のよくあるラストのサジの投げっぷりだけどOK?って感じ。

その映画的弱さをカムフラージュするように「リンゴ=知恵の象徴」を出したりヴァギナの石像を出したり思わせぶりだが、それはケムトレイル(ケム巻き)ですよ、いかにもA24的な。考察に誘っといてケムに巻くっつー単にズルい逃げ方を非常に感じるんだよね。

で、こんどはその線「男性批判」に焦点をあて考えてみるに、村の男たちが同じ顔なのは

(男は)価値観が一緒

ってメタファーと捉えればわかるが、しかし結局この映画は(メタファーに留めず)「現実空間」に落とし込んで進むからとたんに破綻するんだよ。
(あとそれはそれで男を軽視しすぎよね、という異議もあるがソレ言ったらミモフタなので先に進む)

じゃ、違う可能性として「ハーパーの心象風景」と仮定しても余裕で破綻よ(最後もマイカー壊れてるわけでね?)。要するにこの映画は「無理線」に乗るか反るかでしかないわけ。・・というのは精一杯弁護すれば、であり、弁護しなければ


この下手くそ野郎っ!
雰囲気に頼ってねーでちゃんと構築しろ!


と少なくともオレは思ってしまう。
一方でこの映画で良い点は皆が指摘する通り


ラストの産まれまくるボディ描写


ですよね。この特撮はほんと見事だ。
男が男を産み落とす・・それは日々再生産され続ける「劣情や残留思念」の象徴だろうし、SNS社会を風刺してもいる。ここで主人公(「もう終わりにしよう」も好演の)ジェシーバックリーが「・・・」とスルーするのはホント笑ったし、現代的。
でさあ、ダンナくんが登場するんだが


「なんで?」


なのよ。
そりゃ感覚ではわかるよ? 大切な核心だ。
わかるが、飽くまで感覚どまり。ん?じゃやっぱハーパーのトラウマステージか?と思うと現実の友達きてそれはオシマイだし、じゃあ男たちは?あの脱皮のまま部屋にあんの?(だったら見せてみんかい!)だし、要するにガッチャガチャよ。そういう端々の「不誠実さ」「こけおどし感」がこの映画の限界な。

あともう一つ。
この映画やたら高精細で、フルサイズ撮影だとわかるが、その綺麗さはあまり必要ないように思えた。あえて汚した方が想像力掻き立てられると思う。