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カーターのmaverickのレビュー・感想・評価

カーター(2022年製作の映画)
4.2
2022年の韓国映画。監督は『悪女/AKUJO』のチョン・ビョンギル。主演はドラマ『7級公務員』や『グッド・ドクター』のチュウォン。Netflix製作映画。


またも野心的な作品が韓国から生まれた。全編がほぼアクションで、斬新なカメラワークに驚かされる。どうやって撮影しているの?という疑問は尽きない。これはメイキングを是非見てみたい。ドローンや3Dカメラなど、あらゆる最新技術とアイデアを駆使して撮影しているのではなかろうか。CGも使っているだろうが、インタビューの記事を読んだら可能な限り実際にリアルで撮影しているらしい。カースタントやスカイダイビング、ヘリのアクションまで。いやはや凄すぎる。演出的には『メタルギアソリッド』などのアクションゲームっぽく感じた。この監督は恐らくそれらに影響を受けている。

冒頭からもうぶっ飛んでいる。設定からして『ジェイソン・ボーン』のようでもあるが、スタイリッシュさはそのままに韓国映画らしさを上手く融合させている。肉弾戦で鎌を使って相手を殺傷したり、結構グロイ。北と南の関係性とか、これも韓国映画ならでは。そして韓国映画の最近の流行りであるゾンビも盛り込まれる。作品自体はだいぶ攻めた野心作なんだけど、こうした当たり要素をしっかり盛り込むあたりは 策士だなと感心する。映画はヒットしてなんぼだ。

記憶を無くした兵士の男を演じるチュウォンのアクションに釘付けになる。甘いマスクの爽やか韓流スターが、肉体改造でバリバリの戦闘マシーンに豹変。この説得力よ。スタント無しで果敢に挑戦したアクションの数々には驚くばかり。本人の努力と、アクションチーム、そしてそれをまとめる監督と、素晴らしいチームワークを感じさせる。こうした部分の質の高さも韓国映画ならではだ。

中盤でバイクでのアクションシーンがあるが、ここは『悪女/AKUJO』の監督だと一発で分かる。アドレナリン沸騰しまくりの興奮するシーンだった。全編通してアクションの連続なので、車やらバイクやらヘリやら、とにかくいろんなものを使って戦い続ける。そのせいでストーリーは希薄なんだけど、全てアクションで物語を説明する強引さは潔い。アクション映画大好きな人にはたまらない作品である。

洗練されたパワーを感じる部分と、粗さが目立つ部分と。総合点で言うと大味な作品ではある。これは人によって好き嫌いが分かれそう。本作の野心的な部分は自分も大好きで大いに評価するが、『悪女/AKUJO』の方が評価は上だな。しょうがないとは思うけど、CIA側のキャストがチープなのも目立った。もうワンランク上のキャスティングが欲しかったな。


突っ込みどころも結構あるが、それでも素直に凄い作品だと称賛する。未知のウイルスとしてコロナの問題を盛り込んであるのも上手いなと思った。韓国映画とNetflixの野心的コラボに拍手。こういう尖った作品、嫌いじゃない。
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