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シャイロックの子供たちのsakuraのレビュー・感想・評価

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)
3.7
金か、魂か。。

池井戸原作を「空飛ぶタイヤ」の本木克英監督が映画化。池井戸作品に阿部サダヲさんは初との事ですが、とても良かったです。

原作は10の短編集。映画版は小説とは異なった展開のオリジナルストーリー。

シャイロック(Shylock)とは、シェークスピアの「ベニスの商人」に出てくる強欲なユダヤ人の金貸しの名前。金を返せなくなった人に、身体の肉を要求。裁判により認められるものの、血を流してはならないと言われ何も得られなかったという。。

子供たちとは、銀行員の事でしょうか。

メガバンク、東京第一銀行・長原支店での現金紛失事件。
お客様係の西木(阿部サダヲ)は、同僚の北川(上戸彩)と田端(玉森裕太)と共に、この事件の裏側を探っていく。。

「基本は性善説、でもやられたら倍返し! ってね」

と、阿部サダヲ演じる西木は明るく半沢直樹のセリフを少し言っていましたが、倍返しの人、ヒーローからは遠い存在。でも明るく、職場にいたら少し疲れるかもしれないけど、割と良い人でした。

金を借りる人、貸す人、ただ仕事をこなす人、やる気がない人、やる気しかない人、そんな欲と不満にまみれた日本の縮図のような銀行が舞台。

そんな泥くさい世界を、、
大御所で安定感ある橋爪功、柄本明、佐々木蔵之介や、弱気な演技が何故かハマる佐藤隆太、白髪の増えた柳葉敏郎、声の大きすぎる杉本哲太、、、豪華キャストが演じていました。

各キャラクター、見事にハマっていて、引き込まれ、このままドラマになったら観たくなる位。
ただ、時間的に皆さん出演シーンが少なく、残念。
佐藤さんは割と多かったです。エリートとして仕事の悩みを抱え、堪えながら家族と向き合う姿は印象的でした。

「パパはヒーローだからね」

普通、そんな言葉は子供しか言ってくれないですね。(涙)
酒井若菜さん演じる奥さんも笑顔で優しく温かい家族の団欒風景がありました。

個人的には佐々木蔵之介さん、パン好き女優木南晴夏さん、忍成修吾さんの影のある演技をもっと観たかったです。

現実には上戸彩さん、玉森くんや阿部さんの様な人がいて、ギバちゃんみたいな上司だったら、かなり楽しそうな職場なんじゃないかと思いました。

エンドロールは
エレファントカシマシ「yes.I.do」
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