keecoliquorice

非常宣言のkeecoliquoriceのネタバレレビュー・内容・結末

非常宣言(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

事件勃発、までは、なんか起こりますぜとばかりにやたら音楽があおってくるなぁ、という印象だったのだが、

旅客機が離陸していくのを間近に見るような映像に、そうだよな…この巨大な金属の乗り物は空を飛ぶのだ、上から吊ってるヒモとかないんだよ、と、子どものころ感じた恐怖がふいに思い出され、

いざ飛行機内の状況になるや、ただ起こることの事実がどんどん続いていく感じで、音楽も抑えめな曲調になり、映画館の座席の並びが地続きに機内にいるような感覚なのもあいまって、ずっと怖かった。つい力んだりGを感じたりしてしまった。

乗り物アクションの描写と静かなるクライマックスは、ほんとに、死を覚悟することを疑似体験した気がする。怖い。。。

主人公ソン・ガンホとその妻が、自宅マンションの隣の広場に集まる人々を見て会話する冒頭から、恐怖と緊迫の時間のなか二転三転する状況(個人的、企業的、社会的、国家的、と立場もさまざま)を乗り越えて、戻ってくる、同じだが全く意味の違う光景、という、美しく切ない、〝行って帰る〟。

おいおい、そんな、と思うとこもありながら、なかなかに堪能しました。


ところで。
始まり→何かが起こる→同じ光景が違って見える(主人公にも観客にも)。行って帰るの超基本、みたいにいつも思い出す短編アニメがあります。
https://youtu.be/4qCbiCxBd2M
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