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目指せメタルロードのTMのレビュー・感想・評価

目指せメタルロード(2022年製作の映画)
3.5
僕の学生時代のど真ん中はアパトー映画。とりわけスーパーバッドが最高でした。

今作も今の世代にはど真ん中なんですかね?

トリッキーな感じの美男美女が揃い、個性が好まれる時代にマッチしてました!
ジェイデン・マーテルとエイドリアン・グリーンスミス、共にキュートでクールでイケメンですね。

昨今平和ボケが目立つ作品が多く、この作品もぬるま湯感は否めないですが、悪ガキ役が更生もせず最後まで一人でクラッシュしているのはなかなか健闘していたように思います。

今回特に良かったのがヒロインの存在です。
チェロとヘビメタを融合させたことはとても良かったです。
若者が持つ2面性のメタファーとして効いてたし、違いを個性として認め、グルーヴする事で固定観念をブチ破って最高になるって考えは今らしいなと思いました!

「君」って呼ぶ、字幕のセンスも文学的で良かったと思います。
「君は私の精神安定剤」なんて最高のセリフでしたね!

ヒロインの在り方が素敵です。

僕の観ていた頃のヒロインは、クラスのマドンナだけど実は結構無理してる普通の女の子パターンでした。
だからイケてないけど一生懸命な主人公と楽しい時間を過ごし、共通点が増えていく中で、無理しなくていい、自分らしくいらると思える事が大切とされてました。

だけど今はイケてないし、訳あり。でも才能はあるし、性格も良い。ただうまく自分をコントロールができない不器用なだけの女の子。

男性は自分にないものに惹かれるのは変わりないけど外見より行動や才能。
お互いの共通点を見つけるのは一緒だけど、女性にとっては自分が相手を認める事よりも自分を肯定してくれる事が大事になってますね。
周りに影響される時代だからこの選択基準があって面白かったです!

恋愛に限らず、そういった肯定的考え方が連鎖していくラストスパートは気持ちがよかったです!
ケンドル役の笑顔も素敵でしたね!

また、SNSが内面や個性を出せる場ではない事をしっかり線引きしているのも今作の良いところですね。

監督のピーターソレットは、2008年に「君に逢えたら!」を撮ってます。僕は当時大学生の時、自分のプレイリストに恋をしてくれる人がいたらどんなに幸せかと妄想を膨らませました。流石にそのためにCDをゴミ箱に捨てたりはしませんでしたが!

もしかすると、同じ時代を生きてきた監督の視点の変化に共感しているだけかも知れませんが、今の切り取りが心地よく面白かったです。
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