幽斎

フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所の幽斎のレビュー・感想・評価

2.0
2018年製作のカナダ映画、H.P. Lovecraft Film FestivalでNick Szostakiwskyj監督がBest Feature(作品賞)、Blood in the Snow Canadian Film Festivalで主演Josh CollinsがBest Actor受賞。

原題「Archons」ギリシャ語で「統治者」、フランス語なら分るが、なぜカナダでギリシャなのか意味不明。ジャケ写も本国とは全然違う。公式は女性の顔を挟むように黒い爪が伸びてるだけ。女性も違うし、プレデターも顔を出して無い(笑)。最近のアルバトロスはアカデミー国際長編賞候補を海外から積極的に買い付ける。昔のアルバトロスが懐かしくなる変わり様だが、邦題フォービドゥン・プレイス 禁じられた場所も、同じ意味の事を2度繰り返す等、コレに限っては迷走しまくり。

ジャケ写のお姉さんが好み、或いはプレデターに興味津々、両方が登場しないんだから、そりゃ怒られるのは当然。先住民の呪いか何か知らんけど、話の意味が分からな過ぎて、カナダなのに北極並みに冷める。前置きも異常に長く、歌ってるか野ションで尺を稼ぐだけ、劇場で公開されたら「はよ本題に移れや」前の椅子を蹴る(劇場で椅子は蹴らないのがエチケット)。女性のタトゥーが皮膚病に見えて気持ち悪いし。

私の専門はスリラーで複雑に入り組んだ作品ほど腕が鳴るが、本作は抽象的、曖昧、且つ難解で作り手自ら袋小路に迷込んでるので、観客が分る筈が無い。登場人物が「ソコソコ有名なロックバンド」と言う、ホラーにしては毛色の変わった職種だが、ソレが重要なプロットだと後で分る。スリラー的に言えば「先住民の秘薬」と言う謎ワード、聖地巡礼と言う訴求力の無い設定で、1人を残して皆殺し。ホラーの王道的な着地点に「やっと終わった」妙な安堵感しか残らない。

冷静に考察すると、先住民の秘薬は実は普通にLSDで、彼らがHighに為った状態で曲を作った事をすっかり忘れてた。ミイラの出来損ないのモンスターも空想の産物、キャンプのポンコツ女子も存在して居ない。デファクトは先住民の聖地巡礼だけで、頭を爆発させる寄生虫も、ドラッグに依る片頭痛。ドリルで頭に穴を空けるシーンも、脳神経外科が専門じゃ無い私でも生き延びられるとは思えない。上記のコンペもCOVIDで出展作品が殆ど無い中で選ばれた事が判明。アルバトロスもカナダのサイトを調べろよと言いたい。

バンドの人間関係とかヒット曲が作れない憂鬱で、集団が瓦解する様をモンスターに準えたと解釈。だからタイトルが「統治者」なのだ。
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