柏エシディシ

ショーイング・アップの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)
3.0
特集上映「A24の知られざる映画たち」
ようやくFirst Cowが公開されたと思ったら、ケリー・ライカートの新作がさっそく観られる、という。嬉しい。
これ、First Cowより好きかも。
オレゴンのアートコミニティのスタッフ?教師?の主人公が、家主で友人のアーティストや家族との交流と緩やかな軋轢に心揺らぎながら、個展に向けて創作に向き合う姿を捉えた静かなドラマ。
主演はライカート常連のミシェル・ウィリアムズ。ファーストショットで、あれミシェルだよね?と戸惑うぐらい印象が違う。
すっぴんでボサボサの髪。大手資本の映画作品ではややステレオタイプなキャラクターが多いミシェルは、ライカート作品ではすごくゆったりと自然な女性像をいつも演じていて、心地良さそう。
共演は、こちらも近年印象的な仕事が多いホン・チャウ。良かった。
自然に滲んでくる自由人気質、アーティストとしての佇まい。
創作というテーマはライカート自身が投影されたものが感じられ、寓話的な趣きのあったFirst Cowより、よりパーソナルで親密な肌合い。
動物使いの巧さと、さりげなくも一度観たら忘れ難い終幕の余韻は、いつものケリー・ライカート。
つくづく思う、淡い印象なのにまた作品が観たくなる、不思議な魅力のある映画監督だ。
柏エシディシ

柏エシディシ