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逆転のトライアングルのKotaのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.1
“お金なんてどうでもいいの。”

“ザ・スクエア-思いやりの聖域”に続き、二作品連続でカンヌ映画祭のパルムドールを受賞するという快挙を成し遂げたリューベン・オストルンド監督の作品。豪華客船の難破による搾取する側とされる側の立場の逆転をブラックユーモアたっぷりに描く。

原題は眉を顰めた時に額にできるシワを“Triangle os sadness”と呼ぶのと同時に3章立てや、三角関係などの様々なトライアングルとかかっている。何か行動している被写体ではなく、それを傍観している被写体を中心に写す事で、その時の気まずさやエゴなどなんとも言えない人間らしい表情が浮き彫りにされて、監督独特のユーモアと共に終始クスクス笑っていた。

3章ともよく出来ているけれど、特に2章のヨットがやりすぎで最高。悪天候で揺れる船の上でのフルコースディナー。あんなに見ていて気持ちの悪い画面は滅多にないと思うくらいにはこちらまで船酔い。その後のゲロ糞のオンパレードにはもう天晴れ(笑)。この作品がカンヌ含めアカデミー賞などに評価されている事自体が大きなブラックジョークなのです。めちゃくちゃ好きです。

P.S.ヤヤ役の女優の方は撮影のあと32歳の若さで亡くなっているらしい。演技上手かったからとても残念だな。
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