現代の名匠をかじる。今回は、ダルデンヌ兄弟デビュー。
ロキタはパニック障害を持つ、アフリカからフランスに渡ってきた女の子(高校生くらいか)。難民船で出会った男の子のトリと姉弟と偽って入国する。トリは母国の施設で虐待を受けていたということですぐにビザが降りるが、ロキタにはビザが降りず、それどころか、トリの姉であるということが入管審問でことごとく引っかかって証明出来ない。
2人は保護してくれる施設に入っているが、国元への送金などのお金を稼ぐために、ドラッグの売人に手を染める。2人に明るい未来はあるのか。
本物の姉弟以上に絆のある2人。だが、弱者を搾取し利用する構図は世界中どこに行っても変わらない。何も悪いことをしてなくても、運が悪いだけで転落していく。
本作、殺伐としていて容赦ないという表現に偽りはない。徹頭徹尾、動的な演出を省いたリアリズムで人間社会の闇と悪を暴きだすダルデンヌ兄弟の製作姿勢は認めざるをえないものがありながらも、どこか胆汁を飲まされたような不快感は消えることがなかった。それが狙いなのだろうが、鑑賞後の納得感がない。そんな作品なので、後味の格段の悪さも伴って、個人的にはお薦め出来ません。