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ゴールデンカムイのhikarouchのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.5
原作のライトなファン目線の感想。

良い意味でも、悪い意味でも、原作の漫画をできるだけそのまま実写化パックでお届けしますよと。

アクションはとても良かった。冒頭の二○三高地からして、キレイには描いているけど、暴力描写も割と容赦がない。ここ2,30年の映画で、ここまでガッツリ二◯三高地を描いた邦画作品あったかなというほど。また明治時代の白銀の小樽の町並みを背景にしたアクション、荷馬車の荷台でのアクションとかも新鮮味があってとても良かった。グロい暴力・殺傷シーンも良い意味で原作を忠実に実写で再現していてすごかった。"フェイスオフ"の表現とかも、作り手の「どやあ」が滲み出ていて良かった。もうこの時点で十分、見に行って良かったなと言う感じ。

一方で作劇もほぼ漫画そのまんまだったのは、個人的にはちょっといただけなかった。セリフはおろか、ギャグ描写も漫画のままやってしまっていて、あまり笑えなかったし、あちゃーという感じ。(上手くいってたところもあったけど)
そういう理由で、観賞中ずっと、「これは漫画の実写化なんだ」ということを否が応にも意識させられる作品だった。もう少し映画に寄せた演出や脚本があっても良かったと思うが、原作者や原作ファンへの配慮だったんだろうか。

あとこれは原作が元々持っている問題だと思うんだけど、「囚人の入墨人皮を揃えると分かる暗号で財宝の在り処を残した」ことの合理性がやっぱり全然無くて、この突飛な前提が実写化されるとさらに違和感を抱かせていた気がする。原作未読の人はどう思ったんだろうか。

それでも、この中くらいの役者陣(失礼過ぎ)で見せきったんだから、大したもんだとは思う。山崎賢人に"いつもの山崎賢人"をやらせるのは作り手の罪だということが「劇場」を見て僕の中で分かったんだけど、それを差し置いても彼のボディの作り込みは素晴らしかった。ゴールデンカムイという作品ではボディは重要な要素でもあるし、杉元佐一というキャラクターとしてもこれがあるとないとでは話の説得力が段違い。実写化主演続きで忙しいだろうに、彼の分厚い背中にしっかりと役に向き合うプロ根性を見た。

キングダムは一作目で離脱してしまったが、こちらは次作も見に行きたくなった。
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