hikarouch

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のhikarouchのレビュー・感想・評価

3.5
中規模アニメ映画としては、全く悪くないというか、みなさんの評判どおり十分に良いと思う。

ただぼくは原作漫画のあの世界観に毒されてしまったので、常にそれと比べて「うーん、同じだけど、なにか違う」と思いながら見てしまった。原作読んでないほうが純粋に楽しめたと思う。

こんなことを書くと元も子もないのだが、”青少年が青春するアニメ”が生理的に無理なのかもしれない。漫画の吹き出しなら受け入れられるものが、生身の人間が絵に合わせて発した声になった途端、薄っすらとグースバンプが出てしまうのよね。これは作品の良し悪しではなく、完全に好みというか、性分の問題。単に日本の青少年アニメというものを見慣れていない、ということもあるだろうな。

ただどうなんだろう、映像化ならではの良さみたいなものが、本作にあったんだろうか?背景画は良かったけど、人物の造形や動きには、結構ぎこちなさも目についてしまった。

あの母艦や侵略者周りから出てくる、エセ平仮名みたいなオノマトペフォントどうするのかなーと思ったら、そのまま使うのかーっていうのもちょっとがっかり。あれこそ漫画のみに許された表現であって、使いたくなる気持ちは痛いほど分かるが、アニメオリジナルの意地みたいなものを見せてほしかった。無いものねだり。

声優陣は、あのちゃんとかイクラちゃんも健闘しているのだろうけど、上記の性分のせいであんまりポジティブには受け取れず、むしろ一番アガったのはTARAKOによるデベ子だったりした。デベ子の声を聞いた瞬間の「これだ!」感はすごかった。のび太にまる子の声があたるというのも、昭和平成のアニメで育った者の一人として、感慨深いものがあった。やっぱり、レジェンド声優は違うなと思わされるチカラ。これが遺作になってしまったのかな。あらためて、残念です。

キャラクターの中では、原作でもアニメでも、凰蘭の兄こと中川ひろしが最高。彼は、一周回ってやっぱりめちゃくちゃイケメンなんだよね。

ちょっとケチつけるみたいな感想になってしまったけど、ベースとしては十分面白いし、多分後編も見に行くと思います。ただ、本作を見る前のテンションよりは、ちょっと落ち着いちゃったかなあ。
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