磨

ぜんぶ、ボクのせいの磨のレビュー・感想・評価

ぜんぶ、ボクのせい(2022年製作の映画)
3.5
母に会うため児童養護施設から抜け出した少年と、家や学校に居場所を見いだせない女子高生、そして海辺で動かなくなった軽トラックに住むホームレス、それぞれに孤独を抱える3人が紡き出す奇妙な絆を描いたヒューマン・ドラマ。

「万引き家族」に代表される“救われない系”の作品なんだけど、僅かな希望と多少の緩みもあり、個人的にもなかなか好きな作品。
オーディションで選ばれたという2人の少年少女の名演技、そこに幅をもたせるオダギリジョー3人、各々が見事な心理描写を見せ、グッと作品に惹きこまれる。
松本まりか、若葉竜也、仲野太賀がイメージピッタリの役を演じることで作品の輪郭はハッキリ。

ただ、全体的に不可解な部分や粗が目立ち、設定や脚本部分に大きなマイナスを感じた。
物語の性質上、ホームレスや女子高生と出会ってからが本編のスタートなのに、丁寧に描かれていたそれまでとは打って変わってそこからの展開がやたら大雑把。

養護施設職員や“悪い仲間”の行動に謎が残るし、特に警察の怠慢が甚だしい。そう思わせる描写があるならまだしも、彼のどの部分から「お前がやったんだろ」という推測に至ったのか聞いてみたい(笑)

最後の方は時間がなくなって“巻き”で終わらせたのかと思うくらいだったのもなぁ…。
返す返す、好きな映画だからこそ粗が気になってしまい残念感が際立っちゃう。あぁ惜しい!
磨