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ノック 終末の訪問者のminadukiのレビュー・感想・評価

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
3.0
キリスト教社会では常識的に知られているらしい、終末に現れる黙示録の四騎士神話を使ったスリラー

『シックスセンス』以来久しぶりで劇場で観たシャマラン映画です

ある3人家族に、究極の選択が突きつけられる
マイケル・サンデルのトロッコ問題みたいな選択のしようのない要求が静かな森のコテージで休暇を過ごしていた3人家族に、突然押し入ってきた4人組から突きつけられる

人類の滅亡を救うために、家族1人の命を犠牲として差し出しなさい

映画の嘘はド頭に(冒頭)につけと言われるが、それにしてもこの映画の嘘は余りにも荒唐無稽で身も蓋もない 
ここで入れなかった人は最後までこの映画、しんどいだろうなと思った
私は、こんな大嘘どうやって落とし前つけてくれるのよ!という興味で逆に最後まで目が離せなくなった
結果、かなりの剛腕だけど落とし前はなんとかつけられていたと思う

それともう一つ、この映画は私にある気づきを与えてくれた。それは自覚していなかった自身の差別意識のこと

3人家族の構成は、白人の男性2人の夫婦に唇裂のあるアジア系の少女なのだ
「私には父が2人いる」
少女は里子として生後すぐにもらわれてきて今は7〜8歳くらい

映画が終わってすぐに、私は作家がなぜこの物語を男女の両親とその実の娘で描かなかったのだろうと思った
そうすれば道中もっとハラハラドキドキして観れたのではと思ったのである

いや待てよ、そうじゃない!
これは仕掛けだ
作家は敢えてそうしたのだ

男と男の恋愛感情や血のつながっていない親子の絆は、男女間の夫婦愛や血の繋がった肉親への絆ほど強くはないという無自覚の偏見が私の中にあるから、私はハラハラドキドキを減じられたと感じたのである
そのことをこの映画はしっかり炙り出してくれた
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