minaduki

首のminadukiのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.4
『徳をもって治めるが王道。武をもって治めるが覇道。覇道は王道に及ばぬもの』
今週オンエアされた『どうする家康』の中の台詞だ
これまで戦国の三英傑を描いてきた映画やテレビドラマは、天下人たちを王道の執行者として描いてきた

『首』の中には王道はかけらもない
徹底的に覇道が描かれる
ときには覇道さえ踏み外した狂態を見せられる
これでもかと続く、人間の醜悪さ、暴力と残虐性に辟易し尽くす

だが、なぜだか私はこの物語から目が離せなかった
北野の神がかった語りの巧さの所為だろう
人間は美しいものを求めるものだという私の固定観念は、この映画に徹底的に嗤われながら、それでも最後までスクリーンから目が離せなかったのだ

そして、ラスト!
西島秀俊と中村獅童のシーンで、私はザザッと総毛立ち、自分でもなぜなのか分からない涙に驚き、呆然とエンドロールを眺めた
そこには確かに美があった
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