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シャンカラーバラナム 不滅のメロディ(2015年リマスター版)のBaadのレビュー・感想・評価

4.0
いい映画でした。

たまたま70年代の古典音楽とかそれに近い音楽をモチーフにした恋愛ものでこれより前に撮られた心理描写が繊細で美しい静かなヒンディー語映画を2本ほどみていて、古典音楽or古典舞踊の担い手+ラブストーリーは当時の流行りだったのかもで、似た感触を感じました。

それらよりは作りがかなり荒っぽい感じがしたのですが、それを上回るダイナミズムがある美しい映画です。

元はテルグ語映画で、2015年にタミル語でリマスターしたものを上映ということで、映画祭ではそれをみたわけですが、テルグ語版も英語字幕付きでYouTubeに転がっていて、若干はじまりが違うのでこれも時間があれば全部見ようかと思っております。

音楽が信仰に直結しているのを素直に描いているのはいかにも南インドでその部分がむしろわかりやすさにつながっていたと思います。

トゥルシ役の女優さん、ダンスのキレが良く、風貌がいかにものインド美人で言葉より踊りや歌(これは多分吹き替え?)や眼差しで多くを語っていました。

ラストあたりは民間伝承などの型をなぞったお約束の唐突さで、まあ、あんなものかと思いましたが・・・

恋愛ものではなく芸道ものとして撮られたことで、新しい分野を開拓した映画なのだろうと思いますが、個人的には、時代もあってか、芸道ものでコンテストが出てこない、というのがとてもよかったです。

ゆったりみられて幸せな気分で劇場を後にしました。

方向はまるで違うし、描写はこれより過激になりますが、雰囲気が『シッダールタ』(1972)にも似ているような気がしました。
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