アネモネ

プアン/友だちと呼ばせてのアネモネのレビュー・感想・評価

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
3.8
とても丁寧に作られた良い映画でした。
オープニングで引き付けられてからの、静かに始まる2人の旅。
時系列の交差がより2人の過去を濃くしてくれました。
ウードの過去の恋人との日々の語りのようで、ちゃんとボスの存在と友情を感じられる不思議。
で、私としてはかなりウードに感情移入して観てしまいまして…こんな風に元恋人との思い出を私は振り返られるだろうか、なんて自分に置き換えて観てしまいました。
そして、きっかけは病気だとしてもウードは過去と向き合う事ができる人生を送ってきたんだなーって思ったりしました。
その中でも、もちろんこちらにはわからない相手の感情もあるって事が胸に刺さったり。
思い出は綺麗に書き換えられたりしますよねー。
そして、ウードに付き合うボスの想いと存在が気になってきたところで移るボスのパート。
内容はありがちなんだけど、ただのボンボンあほ息子じゃないのがわかったから、その時にはすでに私はウードもボスも愛おしくなっていたのでした。
知らない街で共に夢を追って一緒に過ごした時の重さを私も知っているつもりです。
なので…
ここからは私の個人的な問題ある性格のせいだと思うのですが、
予告からずっとアピールされていたウードの本当の告白ってのが、それが
その内容が
私には許せなかったのです!
マジでショックだったし、お前それ今言うか?と思ってしまったのです!!
だって人の人生に関わる事ですよ?
しかも10年ですよ?
余命があって、本当に後悔してる事だとわかってはいるんだけれど、その回想場面を見て
今までウードは最高にいい奴だと思い込んでしまった私は、
1番フラフラしてなんの信念もなく生きてきた
ただの嫉妬深いフリーターじゃねーか!
そんな奴が人の人生左右すんなや!
と、思ってしまったのです。
回想シーンのウードが、ただの嫉妬だけの理由で行動も最悪な奴に見えてしまった瞬間、この映画から覚めてしまって幻滅してしまいました。
そんな自分が心から悲しいです。
本当に悲しい。
で、結果
ママの台詞にはにかむボスの心の融解も、運命の再開もありがちなラストに思えてしまいました。

たぶん私は心が腐ってるんだと思います。

こう言う映画こそ、何年後かに観直したら感想が違うんだろな。
と、信じたい。
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