dm10forever

最終面接のdm10foreverのレビュー・感想・評価

最終面接(2021年製作の映画)
3.5
【お茶くみ】

たった3分弱の作品の中に「伝えたいこと」だけをキチッと込めて、余計なものを一切省いていたので、とても切れ味のよい作品に仕上がっていると感じました。

なるほど、イランの作品というところに意味がありましたね。

ある会社の採用試験を受けに来た一人の女性。
面接官(社長?)は女性に志望動機を聞きながらも、給仕が入れてくれるお茶がぬるいとダメ出しに夢中で全然彼女の話を聞いていない。
それでも仕事が欲しい女性は必死に自分の志望動機や特技を社長に聞いてもらおうとするが、社長は給仕へのダメ出しに夢中。
遂に堪忍袋の緒が切れた彼女は・・・・

設定的にはいかにも「ショートムービー」らしい『切り取られた1シーン」なんだけど、そこには「男女差別」だったり「パワハラ」であったりと、先進国の人が見れば眉をひそめてしまうような言動が繰り返される。

(そんな時代じゃない)

そんな言葉を出そうにも、そこで「イラン」というお国柄を見て、こちら側もそれ以上望めないんだろうな・・・と心のどこかで納得してしまう。
何だかんだ言ったって、結局こんなもんだよ・・・と。

でも、彼女は「仕事」よりも大切な「尊厳」を選んだ。
きっと面接は落ちるだろうけど、そんなことはどうだっていい。
それよりも大切なものを失いたくないから。

・・・・なるほどね。
上には上がいるって奴か。
彼女も一杯喰わされたね。

もしかしたら、この会社は意外といい会社なのかもしれない。
そして、彼女はいい会社を選んだのかもしれない。

何となくオチは見えるかもしれないけど、そう感じる前に終わっちゃう短さもあって、変な感じも残らない「一口ショート」でした。
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