ボブおじさん

ビーストのボブおじさんのレビュー・感想・評価

ビースト(2022年製作の映画)
3.7
アフリカの広大なサバンナを舞台に、人間を憎む凶暴なライオンに遭遇した一家の恐怖を描くスリラー映画。とにかくアフリカの自然が美しい。そしてCGのライオンが実にリアル。

大きな括りで言えば〝動物パニック〟ジャンルになるが、娘たちを守るため命懸けでライオンと戦う父親(イドリス・エルバ)のサバイバルアクションとも言える。

それにしてもこの家族みんな警戒心薄過ぎない?
アフリカのサバンナ舐めすぎでしょ!
相手はキリンじゃなくてライオンだよ🦁
車の窓閉めなきゃダメでしょ。
家のドアも閉めなきゃダメでしょ。
車の外に気安く出たらダメでしょ。

とまぁツッコミどころはあるものの、そこはサバイバル映画の名手コルマウクル監督、大自然の中でのライオンとの息詰まる対決はハラハラ・ドキドキの連続で迫力があった。

荒唐無稽な話が嘘っぽく見えないのはリアル(アフリカの自然)と作り物(ライオンのCG)が上手く融合して違和感なく撮影されているからだろう。

いわゆる野生の動物による〝人間狩り〟を描いたスリラーだが、視点を変えればライオンの人間(密猟者)への復讐劇だ。

視界の外から突如として現れる恐怖は、まさに陸上版「ジョーズ」。家族を守るため、村一つを壊滅させた凶暴なモンスターライオンに立ち向かう父親の死闘を90分にギュッとまとめ上げた。



〈余談ですが〉
主演のイドリス・エルバといえば本作のようにアクションもできて知的な役も演じられ、おまけにセクシーということから次期ジェームズ・ボンドの噂もチラホラ出ていた。

アーロン・テイラー=ジョンソン、トム・ハーディ、キリアン・マフィーなど他にも候補は多いようだが、金髪で身長も高くないダニエル・クレイグが、それまでのボンドのイメージを大きく変えたことで〝ボンドの既成概念〟のハードルは下がったとは間違いない。果たしてアフリカ系ボンドを世間やファンが受け入れるのか?