味噌のカツオ

ザ・メニューの味噌のカツオのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
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シェフの手による パン!はあっても
食べられるパンはありません。


今年公開された作品で『ボイリング・ポイント/沸騰』というものがありました。
そちらは人気レストランの裏側をノンストップのワンカットで追うという、これはこれで映像の臨場感と人間関係の泥臭さに迫る、なかなか見ごたえのある一作で。

そんな印象も残る中、またもレストランを舞台とした作品がやってきました。
ただし、予告で見るイメージは少々不穏で。ジャンルとしては、ホラーともスリラーとも。
というわけで、『ボイリング~』との比較というわけでもありませんが、気になっていた一品でございました。

実際の作品は、わりとそのまんま。不穏な状況であることがわかり、やがて そう仕組まれた場ですよ~ということがわかってくるのですが。
結論からすると、驚きとか“やられた感”は薄いというべきか。映画が進んでも中火で煮込み続ける感じで、一気に沸騰というものではなかったかな。
序盤に いきなりズドン!はあったけどね。

そもそも なぜ彼らがここに集められたのか。要所要所で語られるものはあるんだけど、ぶっちゃけ「そんな理由で?」と感じるものが多くて。
ましてや このレストランのスタッフから店舗から、すべてとともに…とされる基準が、弱いような。

そして ただ一人助かるあの人については、予約名簿とは別人というのが冒頭に明かされてるので、それはどうなの? という感じがついて回って。
これが綿密に仕組まれたショーであったとして、別人が一人入り込んじゃってたら台本が破綻しちゃうでしょって。

そんなわけで、乗り切れなかったというのが正直なところですが。

最後の最後に店舗全体をデザートとしてデコレーションしていく様は見ていて面白かったし。
あとはアニャ・テイラー=ジョイの目ヂカラ、妖艶な雰囲気には引っ張られてしまいますね。
味噌のカツオ

味噌のカツオ