味噌のカツオ

青春ジャック止められるか、俺たちを2の味噌のカツオのレビュー・感想・評価

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前作『止められるか、俺たちを』の公開から5年半も経ってるんだな。
そちらは井浦新演じる若松孝二を軸に、若松プロで奮闘する吉積めぐみの物語でもあって。んで主演は門脇麦だったんだよね。

“PART2”となっている今作ですが。時間軸としては約10年後でもあり、ドラマ的なつながりは ほぼないので、これはこれで見やすい作品になっていると思います。
そんな今作で描かれているのは、名古屋のミニシアターの…というか、全国的にもミニシアターの はしりとも言えるシネマスコーレの設立からはじまる物語。

そのシネマスコーレにはわたくしもチョイチョイ通ってはいますし、なんなら今回も 舞台となっているスコーレで見てますので。
さすがにホームということもあってか お客さんもよく入っていて。

いや、ホームだからはそうなんだけど、そもそも作品として集中して見入ってしまうぐらいの良いデキだったので。単純に作品の面白さ…これに尽きるんじゃないでしょうか。

ストーリーは地元民としても普通に興味深かったし、いきなり新幹線に乗り込んでしまう情熱(若気の至り?)だったり、撮影現場でのグダグダが見ていられなかったり。
でも それらを全て包み込む若松監督のおおらかさといい加減さが たまらなかったり。

後半、河合塾のヒストリームービーの撮影シーンで、現場を仕切れない井上監督を追っ払って若松監督が乗っ取っちゃう展開が面白かったり。
かと思えば、その撮影シーンの実際の映像がエンドロールで見られるのも笑っちゃいました。

あとはピンク映画という前提で映画の腕を磨いてきた才能が描かれていたり。
そんな作品クオリティの高いピンク映画から、ただのエロビデオ的な作品が幅を利かせてきてしまったことの葛藤も味わい深かったし。
それ以外にも、映画に対してのアツい思いが散りばめられていて。それらも胸に響いてきましたね。

ついでに言うなら「あの監督キライだろ。あんなの好きだったら若松プロ来てないよな」ってのもシュールでしたね(笑)

たぶん、おそらく、撮影順も影響してるのかな。冒頭こそアラタさんも東出くんも「どうなんやろ」という感じだったのですが。
物語が進むにつれ、アラタさんの若松監督っぽさが だんだん板についてきたり。ちょっと猫背気味で飄々と振る舞う東出くんは木全さんと同化してましたよね。

それから芋生悠さんも 作品を見るたびに良い雰囲気で、いちいち目を奪われて。
これからも期待して注目したい役者さんですね。

あと作中の木全さんの奥さんをコムアイさんが演じていて。東出くんとは『福田村事件』に続いての絡みだなと。
出番としては前半の一部だけでしたが、独特の色気を放っておりました。

『福田村~』と言えば田中麗奈さんもバーのママ役で出ていましたね。気が付けば そういうポジションに起用される年代になってんだなぁ。

というわけで、今作を見て より一層シネマスコーレへの思い入れは増しましたし。
ミニシアターでしか出会えない映画もあるし…これまでにもあったし。映画界にとっても大切な場であることも再認識。

そして このような場を作ってくれた若松監督に、心から感謝いたします。
味噌のカツオ

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