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沈黙のパレードのHrtのレビュー・感想・評価

沈黙のパレード(2022年製作の映画)
3.8
ガリレオシリーズはテレビドラマと映画とでトーン&マナーが全然違うのがいい。
ながら見されるテレビでは物語の展開やカットに性急さを求め視聴者を飽きさせない工夫が感じられる。
対して『容疑者Xの献身』からの3本の映画は人間の心理をジリジリ描いていくようなカメラワークや演技のトーンがスクリーンに重厚さをもたらしている。
こういうようなライトな層にも届く演出の差異は映画がテレビドラマの延長上のモノではないという製作側の姿勢を見せられて良い効果を発揮している。テレビドラマで毎回登場する湯川が数式を一心不乱に書き出すアクションシーンをスクリーンでやるとそれこそチープなテレビ映画に変わってしまうからだ。何なら登場人物たちの関係性すらも少し違うしコメディリリーフも映画には登場しない。
このようにテレビドラマと映画で明確に別の作品とすることが主に映画のクオリティを担保している。
解き明かしても誰も報われない犯罪を前に湯川はどう動くのか。常に論理を行動原理の先頭に置く彼の人間的な部分をも描き出す脚本および原作に非常に興味を惹かれた。
全編通してのロケーションやセットの撮影、それに伴う物語の動きなど、抑圧されながらも決して退屈しない画作りが本作の出色具合を雄弁に語っている。
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