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カラオケ行こ!のgyoのネタバレレビュー・内容・結末

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

映画の予告を見て面白そうだったので鑑賞。和山やまさんの『女の園の星』が面白かったのもあって公開を楽しみにしていた。

自分のツボどんぴしゃな映画だった。
ひとつのくだりの長さとか間とか、大笑いじゃなくじわじわ笑せに来る感じが堪らなく好き。特に組員たちの歌をひとりずつ聴いて聡実がコメントする流れ、長すぎ一歩手前の絶妙な尺がじわじわきた。

舞台が大阪で西の方言が好きなのでそれも良かった。聡実くんのイントネーションが関西のそれでテンションあがったし、今も頭のなかで狂児の「聡実くん」が再生できる。

映画部の彼、良すぎる。真顔で淡々と言葉を返すあの感じ、好おもしろ人間なので友だちになってほしい。卒業式で(多分)初めて笑うの見てあ、人間なんだと思って嬉しかった。

中川さんが和田くんを慰めてる時、中川さんといつも一緒にいる女子3人がそれ見て「何してんの?」「子守り」「大変だねえ」みたいな会話がある。画は一瞬なんだけど、ちょっと大人びた中学生って感じが出ててすごく良かった。

逆に和田くんは等身大の中学生だった。合唱部に対して本気で向き合ってるからピリピリしてしまうし、感情のままに行動して後悔もする。その不器用さと素直さが描かれてたからこそ、卒業式で誰よりも部長の卒業を惜しんでたのが痛いくらい伝わってきた。あの泣き方の子いたよね、超リアル。

聡実と狂児の関係性が深まっていく段階に唐突さがなくて見やすかった。好きなシーンは肘ついて食べんな~のところ。次のシーンへの切り替わり方も好きだし、切り替わるまで狂児が肘聡実~とか言って煽ってるのアドリブぽくて面白かった。

聡実が狂児にお守りを投げて渡すところ、投げつけられた狂児の表情がなんとも言えなくて心がぎゅっとした。

観終わったあとからじんときて涙が出てしまう映画だった。不思議な出会いも聡実の青春の一部で、思い出した時にはキラキラしているのかも。原作も読むしもう1度観たい。あとカラオケ行こ~

✦ 1番記憶に残っているシーン
↪︎聡実がヤクザから助けてもらったあとの屋上で狂児と話すシーン。「もうソプラノが綺麗に出ない」という聡実に「綺麗なものだけ正しかったらこの街ごと消えてしまうわ」と言うの素敵だと思った。自分がヤクザという一般的に黒なものだからこそ、この言葉が輝くと思った。黒くても黒の正義があって、視点を変えたら誰かにとってのヒーローになりえるからね。

追記:原作も続編も読みました
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