千年女優

GOの千年女優のレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
3.5
在日コリアンで中学までを朝鮮学校に通い、高校からは普通科高校への転向を決意した男子高校生の杉原。朝鮮学校時代の旧友や普通科高校の同級生、一目惚れをして交際を始める事となった恋人の桜井らとの交流の中で、韓国人であり朝鮮人でもあり日本人でもある不確かなアイデンティティと向き合う彼の青春の日々を描くドラマ映画です。

金城一紀の直木賞を受賞した同名小説を窪塚洋介主演で映画化した行定勲監督作品で、率直に言って描かれている主張そのものは大したものではなく、青春期にありがちな経験伴わぬ頭でっかちな極論に過ぎません。それでもそれを耳障りの良い言葉と初期衝動に溢れた行動で表すティーンエージャーだけに許される特権をフル活用しています。

そんな青臭い物語を、原作の金城一紀、脚本の宮藤官九郎、そして主演の窪塚洋介というマジカルなコラボレーションでポップに彩っており、学生時代のノートや教科書の端に書き殴った詞やテープに録音した歌声の様な、後から見返すと恥ずかしい、それでも全否定は出来ない青春の足跡を観る者に思い返させる不思議な魅力のある一作です。
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