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GOのjunのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
3.7
「これは僕の恋愛に関する物語」
冒頭に強調される杉原のセリフ。

人種差別というデリケートなテーマは根底にありながらもあくまでも焦点は恋愛。ただ一人の女性に恋をして人間として成長する話し。

2001年公開。まだIWGPのキングっぽさが残る俳優窪塚洋介と、脚本宮藤官九郎、監督行定勲といった豪華キャストやスタッフが名を連ねる。そして脇役も何気に豪華でびっくりでした。


在日韓国人の高校3年生、杉原は夢も希望もなく朝鮮学校に通いワルの友達と喧嘩に明け暮れる毎日。一念発起し広い世界を見ようと日本学校に転校する。
しかしある日所属していたバスケ部で『在日』と揶揄され我慢ならず飛び蹴り。乱闘騒ぎを起こしてしまう。その日を境に学校中のワルから喧嘩を売られることに。
そんな時友達の加藤の誕生日パーティーで周りを惹きつける魅力的な女性・桜井と出会い惹かれていく。

次第に仲を深める2人だが杉原はなかなか自分の出生について桜井に打ち明けられずにいた。そんな時、あることをきっかけに
彼は桜井に在日韓国人という生い立ちを打ち明けるがーー


《以下ネタバレあり》







そのタイミングでの告白かぁとは思ったけど、彼なりの誠意にも受け取れた。
「自分の身体に杉原が入ってくるのが怖い」
桜井の反応は冷たいようで至極当然。
国籍の違う人と関係を持つのは簡単なことではないはず。

だからこそ、半年後『俺は何もんだ!』と聞いた杉原に『在日韓国人』と答えたんだと思う。
彼女なりに時間を置いて頭を整理し、結局『ありのままの杉原が好き』という気持ちだけが残った。
最初に感じた気持ちを大切にしたある意味純愛と呼べる結末がよかった。


出会ったばかりの警察官と缶コーヒー飲みながら本音で語り合うシーンはこの映画のハイライトのようだった。
彼女との別れに落ち込む杉原。

《近寄ってくるから忘れちゃう、自分が韓国籍だっていうことを》

《何人だろうと寄ってくるんじゃん?お前いいやつだから》

決して下に見ず対等な立場で話ができるこの警察官みたいな人でこの世界が溢れたら、変な争いも起きずに済むのにな。
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