在日である高校生「杉原」が人生や恋や将来など様々な問題にもがきつつ、日々を駆け抜けていく。青春系ヒューマンドラマ。
この頃のクドカン脚本作品を見てたのが個人的には青春真っ只中の時期で、いやはや当時の記憶が蘇る。そんで今見てもやっぱり楽しい。この若者っぽい「ノリ」とテンション感、なんというかイケイケな感じにもそのうちノレなくなってしまう日が来てしまうんだろうか、ってのはどーでもいい話。描かれるのは在日朝鮮人、在日韓国人に対する偏見、差別というもの。当時も、なんなら今でもピンときてるかと言ったら微妙なとこではあるんだけど、じつはそこらへんちゃんと理解してなくてもバツグンに楽しめちゃうという映画。テンポのいいストーリーテリングに小気味いいカット割りに、時にはポップでスタイリッシュで、時には切なくて美しい描写の数々。大まかに言えば、国籍も人種も関係ないじゃないかという、それこそ近年の洋画でよく描かれるテーマな気がする。そこに邦画だからこそ為し得る質感や親近感というのが確実にあるなと。「ロミオとジュリエット」にある薔薇の名前のくだりの引用が非常に印象的。で、ヒューマンドラマでありつつも、主人公が劇中で何度も言うように1組の男女の「恋愛モノ」として消化させてるあたりも素敵だなと。なんかもうね、キュンキュンしちゃう。窪塚洋介が主人公の若者を熱演中の熱演、本当に素晴らしい。今作で日本アカデミー賞の主演男優賞を史上最年少で勝ち取ったという事実にも納得。柴咲コウは文句なしにキュートだし、山崎努はめちゃくちゃかっこいい、けどこんな父親は絶対に嫌だ。山本太郎も全力で俳優やってる。
にしてもオープニングのワクワク感よ、ここの秀逸さは異常、一気に引き込まれる。で、そのノリ一辺倒じゃないあたりも見事だなと。うん、色褪せない名作認定ってことで。広い世界を見るのだ、将来自分にも子供ができたらそう言ってやろう。
