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エゴイストのAyaxのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
3.8
ゲイの恋愛映画かー、スルーしようかなと思ってたんだけど、サムソン高橋さんの激賞レビューを読んでしまって、それが本当に素晴らしくて面白くてすぐ観に行くことにした。
サムソン高橋さんは能町みね子さんの恋愛感情なしの同棲相手として以前から知っていて、旅行でタイのハッテン場に行ったりしてて、ハッテン場はさておいて、そのタイの写真たちが素敵でTwitterをフォローしてた。
私が特に気に入ったのは、
「気を付けて浩輔! きっとこの子、おリツ(お金目的のパパ活ボーイを揶揄する昭和のゲイ用語。誰も知らなくていい)よ!」
という一文。
映画の方は、とても良かった。恋愛にとどまらない、既成概念にとらわれないもっと大きな愛の話だった。
鈴木亮平がすごいとは聞いてたけど、この人本当にすごいね。こういういわゆるオネエの言葉遣いを私の前でがっつりする友達がいないから、リアルかどうかはわからないけど、カミングアウトしてない人の前で話すときにも少し滲み出てくる感じとか、手の仕草とか全部すごい。めっちゃ研究して、めっちゃ練習したのが伝わってくる。仲間との飲み会のトークも、路上でのヴォーギングも最高。この映画のインタビューなどでの彼の発言も、全方位に配慮して丁寧に言葉を選んでいて素晴らしい人柄なんだろうと勝手に想像している。好感度MAX!
宮沢氷魚もイノセントな笑顔と捨てられた子犬みたいなほっとけない眼差しが素晴らしくて、浩輔じゃなくても誰でもかわいい〜って思ってしまう罪深き愛らしさ。
そして阿川佐和子の演技もすごく自然な感じ。私は彼女のシーンで泣いてしまった。浩輔が彼女の家を訪れたときに玄関先の鉢植えのお花が枯れているのが映されて、それで泣いてしまった。平気なわけないんだよ。
聞けば全編ではないものの、エチュード(即興劇)のシーンが採用されてるらしく、龍太が味噌を買いに行ってる間に浩輔と龍太の母が話すシーンとかそうらしい。
前半はゲイの皆さんの飲み会の会話とか全部面白いし、浩輔と龍太の交際前後の様子(その過程)も興味深いし、その後の展開もちょっと予想できたけど良い着地だと思った(何様)。
ストーリーの展開で、???と思うところはあったものの、3人の演技合戦という点だけで観る価値があると思う。もっと見せてくださいという感じ。
サムソン高橋さんのレビューはググればすぐ出てくるよ。観るか迷ってる人にぜひ読んでほしい。
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