じぇれ

ロッキーVSドラゴ:ROCKY IVのじぇれのレビュー・感想・評価

ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV(2021年製作の映画)
4.2
【原点回帰の人間ドラマ!】

思えば『ロッキー』は、転がり込んだチャンスに人生を賭けた《無名の男》の物語だった。
ポーリーやミッキーといった、ロッキーを取り巻く人物も、くすぶった者ばかり。
そんな負け犬たちの想いが生み出すドラマが、私たちの心に突き刺さったのだ。

しかし、シリーズを重ねるごとに、趣きが変わっていく。
大スターになったスタローンは、大ヒットさせるべく、ロッキーをアメリカの英雄に仕立てあげた。
その頂点が『ロッキー4』。

だが、老人となったスタローンが再編集した本作は、アメリカvsソ連の代理戦争ではなく、個人の想いに焦点を合わせた原点回帰の一作に仕上がっている。

中でも、ドラゴの印象が全く変わることに驚きを禁じ得ない。
ストーリーはそのままで、出演シーンも大幅に増えた訳ではない。
それでも、アメリカから見た恐ろしいソ連の象徴ではなくなり、人間ドラゴの葛藤が鮮烈に浮かび上がる。

そう、ドラゴもまたチャンスが回ってきた《無名の男》なのだ。
生まれ変わった本作を通して、ドラゴの心情をしっかりと感じてほしい。

ドラ泣きとは、本作のためにある言葉だ!
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