【愛する子どもを失った母親は、殺意すら感じてはいけないのですか?】
私事だが、一昨年パルマ短編映画祭という小さな映画祭を立ち上げた。届いた157作を全て鑑賞した際、開始数分でグランプリ候補だなと確信したのが、この『うまれる』。
(※『うまれる』は最後の最後までリードしながら惜しくもグランプリを逃したが、審査員賞を獲得)
娘の死がいじめによるものと分かった母親の心の旅路が、鮮烈に叩きつけられる。その乱暴なまでの赤裸々な描写に、心も頭もぐちゃぐちゃに引っ掻き回される。
そもそも復讐ってなんでしちゃいけないんでしょうね?
そりゃあ、なんでかなんて分かってはいるのだけど、気付けば自分で自分を問いただしている。キレイゴトとか建前じゃなくて、本心で答えてみろと。
というわけで、わずか33分しかない短編映画がテアトル新宿で単独公開される。異例だとは思うが、本作に限っては当然だとも思う。強烈なパワーを放つ『うまれる』を是非スクリーンで観てほしい。