じぇれさんの映画レビュー・感想・評価

じぇれ

じぇれ

映画(805)
ドラマ(0)
アニメ(0)

渇愛の果て、(2023年製作の映画)

3.7

【社会派映画ならぬ個人派映画の誕生!】

高校時代から仲良しの女性4人組。そのうちの1人が念願の懐妊。親友たちも喜ぶのだが......。

劇団野生児童主宰・有田あんが監督・脚本・主演を務めた本作は、
>>続きを読む

マイマザーズアイズ(2023年製作の映画)

4.5

【世界で絶賛される串田壮史が切り開く、新世代ヒューマンホラーの未来】

森の中。母が娘をギコギコ切り裂いていく__!
さいたまSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映されるやいなや、SNSでは本作のポス
>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.8

【クロネン爺、惑う】

腹に刻まれた縦の手術痕。それは『ビデオドローム』にて“New Flesh”(「新しい肉体」、日本語字幕版では「新人類」)と表現した人類進化を彷彿とさせる。しかし、本作では更に横
>>続きを読む

絶叫する家(2022年製作の映画)

3.3

【オーソドックスな恐怖を追求した理想的な習作】

夫の実家には開けてはいけない箱があった⁉︎

比嘉監督いわく、オーソドックスな恐怖を演出できるよう心掛けたとのこと。その言葉通りで、パンドラの赤い箱を
>>続きを読む

うまれる(2021年製作の映画)

4.2

【愛する子どもを失った母親は、殺意すら感じてはいけないのですか?】

私事だが、一昨年パルマ短編映画祭という小さな映画祭を立ち上げた。届いた157作を全て鑑賞した際、開始数分でグランプリ候補だなと確信
>>続きを読む

【推しの子】Mother and Children(2023年製作の映画)

4.0

【映画の醍醐味は《嘘》】

いやぁ、参った。
大ボラをかました後できっちり説明を加えるのが一般的な作劇だが、本作はさにあらず。

嘘に嘘を重ねて更に嘘を上塗りしていく。その加速力で有無をも言わせず、力
>>続きを読む

ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV(2021年製作の映画)

4.2

【原点回帰の人間ドラマ!】

思えば『ロッキー』は、転がり込んだチャンスに人生を賭けた《無名の男》の物語だった。
ポーリーやミッキーといった、ロッキーを取り巻く人物も、くすぶった者ばかり。
そんな負け
>>続きを読む

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46(2020年製作の映画)

4.2

【去った彼女と残された彼女たち】
凄まじい勢いでスターダムに駆け上がった欅坂46。不動のセンター平手友梨奈さんと他メンバーの間に生じた溝は何だったのか?残された者たちの証言を軸に5年を総括する、“ゴー
>>続きを読む

いつくしみふかき(2019年製作の映画)

4.0

【血の絆は存在するのかを模索する旅】

息子がこの世に生を受けた時、父親は一線を越えた......。
それから30年。
赤ちゃんのまま大きくなったような、何もできない息子。
依然として悪事に手を染め、
>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.7

【秀才の賢さばかり強調された狂ったふりコメディ】

悲しみに暮れるダニーは、恋人とともにスウェーデンの夏至祭に参加する。しかし、その祭りの異常さが若者たちを恐怖のどん底に突き落とし

......と見
>>続きを読む

超擬態人間(2018年製作の映画)

4.4

【おバカなフリして斜め上に突き進むクレバーな社会派スラッシャー】

父子は森の中で目覚めた。なぜ?
一家は森の中で襲われた。なぜ?
謎を謎で上塗りして加速する、恐怖と狂気のスラッシャーミステリー見参!
>>続きを読む

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)

3.8

【信念がぶつかり合うエンタメ史劇】

直流か、交流か? 19世紀末に巻き起こった《電流戦争》。トーマス・エジソンとジョージ・ウェスティングハウスによる開発合戦は、若き天才ニコラ・テスラも加わり、仁義な
>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.2

【捻りの効いた王道ミステリー】

大富豪が死んだ。匿名の依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランが遺族の聴取を行うのだが……

いやぁ、楽しい!
オールスターキャストが魅せる曲者演技の妙!
凝った装飾の数々が
>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.5

【パリの闇を炙り出す冷静と情熱の演出】

パリ郊外に赴任した警官は、荒廃ぶりに戸惑いながらも己の正義を貫こうとする。しかし、些細な事件をきっかけにパンドラの箱を開けてしまい……

本作はミュージカルで
>>続きを読む

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

3.7

【被害女性たちへのレクイエム】

醜い容姿のフリッツは女に見向きもされない。それでも日々ナンパに励み、年増の女性をお持ち帰りするのだが……
50年近く前にドイツを騒然とさせた猟奇的事件の映画化。

>>続きを読む

ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

4.3

【現実とリンクする限界突破の感動作】

施設を脱走したダウン症の青年。
仲間から逃げる自暴自棄の漁師。
2人の出逢いが奇跡を呼ぶロードムービー!

ダウン症の青年を演じるザック・ゴッツァーゲンは、自身
>>続きを読む

ふたりの J・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏(2018年製作の映画)

3.8

【アイデンティティの揺らぎで心が泣く】

彗星の如く現れた美少年私小説作家はふたりの女性が仕組んだ幻だった! ルックス担当だったサヴァンナ自ら脚本を書いた、今世紀最大の文壇スキャンダルの裏で繰り広げら
>>続きを読む

Last Lover ラストラバー(2020年製作の映画)

3.7

【トリッキーなラブサスペンス】

死んだ彼氏が幽霊となって帰ってきた。しかし、彼女の周りでは不可解な事件も頻発し……

ファンタジー、ミステリー、サスペンス、ホラー……自由にジャンルを行き来しながら観
>>続きを読む

mellow(2020年製作の映画)

3.5

【想いを伝えるということ】

お客様一人一人に丁寧に寄り添う花屋を起点に交差していく人々の想い。

今泉力哉監督らしい優しい眼差しが心地よい小品。一見変人に見える人々も、みな彼らなりに一所懸命生きてお
>>続きを読む

私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)

3.9

【超絶話法で炙り出す人間の生態】

50代の美しい大学教授がネットを通じて若い男にはまっていく。20代と偽ったまま……

最先端のSNSサスペンスを期待すると肩透かしを喰らいます。本作においては、ツー
>>続きを読む

ハスラーズ(2019年製作の映画)

3.9

【ロマンシスに涙する犯罪実録もの】

お金が必要でストリッパーになったアジア系女性。彼女はスパニッシュ系のナンバー1ストリッパーと仲良くなり、コンビで合法的に稼ぐのだが……

宣伝では『オーシャンズ8
>>続きを読む

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

3.7

【冒険を通じて己を超える人間ドラマ】

開巻するやいなや、人物紹介もそこそこに気球が大空へ飛び立ちます。真面目そうな男学者とエキセントリックな女操縦士、そして可愛らしいワンちゃん。大冒険の幕開けです!
>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.5

【ジョジョのビミョーな冒険】

ヒトラーに心酔する少年ジョジョの目を通して見る第二次大戦。戦争は臆病な少年はどう変えるのか?

監督はタイカ・ワイティティ。だから、軽いんです。楽しいんです。笑えるんで
>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.9

【力みなく描ききる御大の余裕】
※スコアはエンタメとしての評価。諸事情鑑みた実録ものとしてのスコアは後述。

爆弾を発見した英雄が容疑者に仕立てあげられた。頼れるのは変わり者の弁護士のみ。汚名を晴らせ
>>続きを読む

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

3.6

【徹底したおバカ映画】

失敗続きのダメ刑事たちは、張り込みのためにから揚げ屋を開業することに。しかし、から揚げ屋が大繁盛!捜査なんてしてる暇はなく……

徹底して笑いを追求する姿勢に脱帽!
正直なと
>>続きを読む

男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

3.5

【渥美清の偉大さを再認識】

寅さんがいなくなって20年余り。甥の満男は人生の岐路に立っていた……

満男の述懐という体で過去の名場面が随所に挿入されます。
おかげでシリーズを全く知らない人でも問題な
>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.8

【エンタメでテーマを語りきる“物語”のお手本】

半地下に暮らす貧乏一家の長男に転がりこんだおいしいバイト。そして始まるパラサイト計画。金持ち一家を巻きこんで、怒涛の悲喜劇が幕を開けた!

とにかくス
>>続きを読む

初恋(2020年製作の映画)

4.5

【日本よ、これがMIIKEだ!】

破綻していく不完全犯罪。巻き込まれる余命僅かな青年。
歌舞伎町の華やかなネオンの影で芽生えた小さな恋のから騒ぎ。

盟友中村雅と共に三池崇史が歌舞伎町に帰ってきた!
>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.2

【日本よ、これがアメリカの“陸王”だ!】

絶対王者フェラーリを倒すために雇われたクセ者2人。妨害を受けながら彼らが試行錯誤していく日々を描く池井戸潤的実録ドラマ。

私が皆さんにお伝えしておきたいの
>>続きを読む

Fukushima 50(2019年製作の映画)

4.0

【『シンゴジラ』テイストの緊迫感】

開始早々8年前の“戦場”に連れ去られ、手の震えが……

不毛な会議に疲弊しながら目の前の危機に立ち向かっていく様は、『シンゴジラ』さながら。
メタファーを排し原子
>>続きを読む

テッド・バンディ(2019年製作の映画)

4.0

【稀代の殺人鬼の苦悩を描く純愛映画】

全米を震撼させた殺人犯テッド・バンディ。彼には心より愛する女性がいた!

かつてテッド・バンディと交際していたエリザベス・クレプファーの手記を元に、これまで語ら
>>続きを読む

ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.9

【新たな救世主を通してシリーズの核を捉えた良作】

・新たに巻き込まれる救世主の苦悩
・かつての救世主の葛藤

新しくも暗い運命を巡る2本の柱で構築された新編。
かつてのサラとカイルを思わせる新キャラ
>>続きを読む

幸福路のチー(2017年製作の映画)

4.1

【幸せってなんだろう?】

祖母が死に台湾に戻ってきた女性チー。人生の岐路に立っていた彼女は、幼少期に思いを馳せる……

『この世界の片隅に』の真摯さ
『夜は短し歩けよ乙女』のイマジネーション
『ちび
>>続きを読む

ゴーストマスター(2018年製作の映画)

3.8

「壁ドンってなんなんですか?」
主演俳優の疑問がもたらした撮影現場の混乱。しかし、カメラは止められない!映画愛の暴走を描いたスプラッターコメディ!

……とまぁ、概要を説明すると、70-80年代ホラー
>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.8

【キューブリックVSキング戦争を和平に導くウルトラCに驚愕】

キューブリックは原作の骨格だけ用いてそれ以外を捨て去り、己の映像芸術を追究した。
キングはその姿勢に憤り、己のホラー道を追究した。

>>続きを読む

>|