うにたべたい

透明人間と蠅男のうにたべたいのレビュー・感想・評価

透明人間と蠅男(1957年製作の映画)
4.1
大映制作の特撮映画。
この頃、日本で透明人間を題材にした映画が3作品作られましたが、本作はその内で1番最後に作られた透明人間映画です。
前2作は円谷英二が特監を行っていましたが、本作は的場徹が特撮しています。
的場徹といえば、大映の特撮スタッフとして"釈迦"、"鯨神"などを担当しており、円谷英二のライバルとも言われていた人物ですね。
過去2作の透明人間に比較すると強烈なインパクトはないですが、浮き上がる人間、小型化する人間の特撮映像は見事でした。

旧日本軍の秘密技術によって体長を縮小し、飛行能力を持つ蝿男になることで、バレることなく殺人事件を繰り返す凶悪犯と、宇宙線研究の過程で偶然発見された光線により透明人間となった科学者の対決を描いたストーリー。

蝿男というと、一般的には"ハエ男の恐怖"だと思いますが、本作の初演は"ハエ男の恐怖"より前です。
私も透明人間と蝿男とか「またこの頃の邦画はとりあえず混ぜればいいみたいに考えて」と思いましたが、全然無関係でした。
本作で登場する蝿男は蝿と人が合成された化け物では無く、ただの空飛ぶ小さいおじさんです。
蝿男の正体が判明してから小さいおじさんが見つからないように電柱の影でコロポックルのように潜んでいる姿は、惨めさを通り越して可愛らしさすら感じました。

透明人間3作品で1番地味な印象がありますが、個人的には1番面白かったです。
犯人の手口の特定から、凶悪でインパクトのある怪人・蝿男の正体、その凶悪性、遂に現れる透明人間、とストーリー展開のテンポが良かったのがポイントだったと思います。
ややご都合主義的なところがありますが大団円で締めるのも良かった。
ただ、やっぱり本作も透明人間が紳士なんですよねー、蝿男もなぜか女風呂に身を潜めることをしないし、警察も蝿男を探して女風呂に踏み込まない。解せぬ。